カルチャー

夏の終わりは、宮古島のパリへ。

山瀬まゆみさんの個展「色と内と外」を観に行こう。

2023年8月30日

text: Yosuke Matsubara(PALI GALLERY)
photo: Daichi Sakurai

宮古島の『PALI GALLERY(パリ・ギャラリー)』で、
POPEYE本誌でもおなじみのアーティスト・山瀬まゆみの展覧会が開催中。
その様子を、ギャラリースタッフの松原さんが直接レポート!

山瀬まゆみさん

皆さん、こんにちは。沖縄・宮古島『PALI GALLERY』の松原洋輔です。突然ですが、PALI GALLERYでは8月12日から9月10日までアーティスト・山瀬まゆみによる新作展覧会『色と内と外』を開催しています。山瀬まゆみさんと言えばPOPEYEでも連載ページ”ART WALL”を担当されているので、ご存知の方も多いかもしれませんね。今回はそのオープニングレポートを真夏の宮古島からお届けしたいと思います! が、その前に、僕たちの紹介を少しだけ。

PALI GALLERYは、沖縄本島から南西に約300km、飛行機で40分ほどで到着する宮古島に2022年にオープンしたアートギャラリーです。宮古島出身のアーティスト・新城大地郎と、宮古島にゆかりのある写真家・石川直樹さんの2名が中心となり展覧会やイベントを企画しています。これまでも、宮古島の民俗学研究者で禅僧の岡本恵昭による島の祭祀写真の展示や、ともに沖縄の風景を撮り続け、師弟関係でもある写真家・勇崎哲史と石川竜一の二人展など、宮古島に関連した展覧会を行ってきました。

今回の展覧会にあたって、山瀬さんは今年4月に宮古島に滞在し、フィールドワークを行いました。島の博物館を訪れ歴史を学んだり、土地や建物の色についてリサーチをしたり、島の食材を食べたり。そんな中で受けたインスピレーションをもとに制作されたのが今回展示するキャンバス作品14点です。

東京のスタジオで制作された作品には、宮古島の風土や気候を山瀬さんなりに感じとった経験が描かれています。『目に見えないけれどそこに確かに存在するもの』という山瀬さんの作品に通底する制作テーマが宮古島にも重ねられ、作品ひとつひとつに島のエッセンスが散りばめられています。もともとカラフルな色合いが魅力的な山瀬さんの作品ですが、今回はさらに島の空気感を纏い、より一層色濃く描かれているのもポイント。それではここで、山瀬さんから今回の展示について一言いただきましょう。

「今回は宮古島をテーマにした宮古島での初めての展示になります! いつも個展をする際には、(内から)自分でテーマを設けてやることが多いので、今回のような外からの働きかけをテーマにすることは珍しく、宮古島という特別な場所ももちろん、すべてが私にとっては新鮮な展示でした。」(山瀬さん)

展覧会の前日は山瀬さん立ち合いのもと、作品をインストールしたのですが、台風が接近し、作品が届かないのでは……とハラハラする一幕も。結果、無事に受け取ることができ、初日の夕方から始まったオープニングには地元の人が集まって終始賑わいました。PALI GALLERYディレクターの石川直樹さんや、宮古島のクバ(ビロウ)アーティスト小川京子さんも駆けつけてくれました。

ということで、長くなりましたが、以上、宮古島からのリポートでした。まだまだ夏真っ盛りの宮古島。風の抜けるビーチに寝転びながらのんびりするのもよし。海から戻ったらPALIで山瀬さんの作品をぼーっと鑑賞しながらワイングラスを傾けるもおすすめですよ〜!

P.S. 最後に、宮古島に来たら、ギャラリーのついでに行ってほしい、おすすめの食堂を紹介します。それが、しま食堂『湧泉家』。地元に愛され、旅行者もウェルカムな食堂です。イチオシは『ゆし豆腐そば』。宮古島独自の麺にお豆腐屋さんのゆし豆腐がのっかりシンプルな味わいでとても美味しいですよ〜。それでは!

インフォメーション

山瀬まゆみさん展示

『色と内と外』山瀬まゆみ@PALI GALLERY

『目に見えないけどそこに確かに存在するもの』をテーマとし自由で軽やかな作品を生み出す山瀬まゆみによるPALI GALLERYでの初の展覧会。2023年4月に宮古島にてフィールドワークを実施した山瀬が宮古島で感じた空気、感じた色を表現した作品を展示。

会場:PALI GALLERY
会期:2023年8月12日〜9月10日
時間:11:00〜19:00
休み:月曜日
入場料:無料

プロフィール

山瀬まゆみ Mayumi Yamase

やませ・まゆみ|東京生まれ。幼少期をアメリカで過ごし、高校卒業と同時に渡英。ロンドン芸術大学、チェルシー・カレッジ・オブ・アーツ&デザインにてファインアート学科を専攻。現在は東京を 拠点に活動する。抽象的なペインティングとソフトスカルプチャーを主に、相対するリアリティ(肉体)と目に見えないファンタジーや想像をコンセプトに制作する。