トリップ

SEOUL CITY GUIDE – 望遠編 –

2023年6月22日

SEOUL CITY GUIDE


photo: Kazuharu Igarashi
coordination: Minyoung Kim(TANO International)
text: Neo Iida
2023年7月 915号初出

 龍山からSWINGでスイスイ。途中、新水洞と弘大に寄り道をしていたら、いつの間にか麻浦区にいたようだ。そういや目黒区と世田谷区も境目よくわからないもんね。というわけでソウルの西の端・望遠に到着。駅前の商店街には、八百屋で野菜を買うおじさんやちょけて遊ぶキッズ。いうなれば豪徳寺といったところかな。まずは『イルドゥン食堂』で豚の背骨と白菜がごろごろ入ったジャングクを食べる。店主の素っ気なさ、嫌いじゃない。『604 SEOUL』では、フリーエディターのジョンヒョンさんに会った。前に望遠で働いていて、それ以来この街が大好きになったという。「望遠は個人経営の店が多くて朝早くから開いてるところは少ないんです。でもここは8時オープンだし、いつも地元の人で賑わってる。居心地がめちゃくちゃいいんですよ」。確かに、来る人来る人常連さんで、店主のオルさん・ヒジンさん夫妻も和気あいあいと話し込んでる。流行りの店の場合、レジにいるバイトさんにスンって感じの対応をされがちだけど、やっぱり店長がいるって温かい。ふらっと入った『EUNPIE』もニコニコとパイの食べ方を教えてくれたし、ジョンヒョンさんが教えてくれた『Doraeknot』と『small coffee』からはホスピタリティを感じた。『Atelier kreta』が作るピクニックセットには「いいのできたから食べてみてよ!」なお裾分けっぽさがあった。東京で馴染みの個人店に行く感覚と似てる。商店街で感じた豪徳寺っぽさは間違ってなかったな。あ〜、西に来てよかった!

1. イルドゥン食堂 イルドゥンシクタン

骨にカブりついて食べよう。

 韓国では酔い醒ましスープと呼ばれているヘジャングクの店。牛肉の出汁に豚肉の背骨と乾燥白菜と一緒に煮込んだ、カムジャタンの芋なしみたいなスープだ。アツアツ&具材が盛りだくさんで、これは疲れた肝臓に染みそう。キムチとごはんが付く。800ウォン。

インフォメーション

イルドゥン食堂 일등식당

◯麻浦区パンウルレ路82/82, Bangullae-ro, Mapo-gu 8:00~21:00、土・日7:30~ 月休

2. EUNPIE 望遠店 ウンパイ マンウォンジョム

 ウン姉妹が営むパイの店。以前ニュージーランドに10年住んでいて、そこで食べたパイが忘れられず再現したんだそう。スパイシーなビーフパイにイチゴジャムを付けて食べるのがウン流! ずっしり重厚だから、おやつにもランチにもぴったり。マッシュルームもクリーミー。

インフォメーション

パイのショーケース

EUNPIE 望遠店 웅파이 망원점

◯麻浦区望遠路2ギル62/62, Mangwon-ro 2-gil, Mapo-gu 11:00~21:00※売り切れ次第終了 月・火休

Instagram
https://www.instagram.com/eunpie_official/

3. Atelier kreta アトリエ クレタ

フリーエディターのジョンヒョンさん。

 パスタなどの乾物やワイン、調味料や食器類などを扱う街のグロサリーショップ。国内外のおいしくてパッケージデザインのいい食材を揃えていて、コリアンメイドのものもいろいろ。さらに2階でカフェを運営しており、オリジナルレシピで作るシロップやディップが人気。

ピクニックセット
パーティにもぴったりのチーズや自家製のディップ、クラッカー、オリーブが詰まったピクニックセット₩16,000
ジャムとシロップ
オーガニックのタンジェリンを使ったハミガキ粉みたいなチューブタイプのジャム₩9,000、カフェのバニララテにも使っている、優しい甘さのオリジナルのバニラシロップ₩8,000

インフォメーション

Atelier kreta 아틀리에 크레타

◯麻浦区望遠路2ギル69/69, Mangwon-ro 2-gil, Mapo-gu 12:00〜20:00 月・火休

Instagram
https://www.instagram.com/atelierkreta_official/

4. Doraeknot ドレノット

コーヒーにも合うサクサクのチュロス(3本₩6,000)。
コーヒーとラテ
豆はブルックリンのロースター『SEY』の浅煎りを使用。シングルオリジンには“サイドカー”というラテが付くサービスが。同じ豆を違う表情で楽しめる。これは程よい酸味のエチオピア。

 アメリカでコーヒーとワインを勉強したライアンさんは、コーヒーを楽しむための様々な仕掛けを用意している。挽いた豆の香りを嗅いでもらったり、ホットドリンクには氷のグラスを用意してアイスの味がわかるよう工夫したり。ホスピタリティがすごい! チュロスのソースはチョコだと味が強すぎるのでリコッタチーズとカスタードに。繊細!

インフォメーション

店内

Doraeknot 도래노트

◯麻浦区パンウルレ路72/72, Bangullae-ro, Mapo-gu 月~水・金8:00~17:00、土・日10:00~※18時から22時まではワインバー 木休

Instagram
https://www.instagram.com/doraeknot_mangwon/

5. 604 SEOUL 604ソウル

フラットホワイト
綺麗なフラットホワイト(₩5,000)。マグはアメリカ〈hull〉製のヴィンテージで、店頭で販売も。マグ(₩45,000)。
サンドイッチ
グリルドチーズトースト(₩12,000)にはピリ辛の唐辛子の種付き。チーズにナイスアクセント!
店主と奥様
望遠に来たら寄ってね♡

 ジョンヒョンさん行きつけのカフェは、朝8時から開く望遠の憩いの場。店名は小・中・高をカナダで過ごしたオルさんが愛するバンクーバーの市外局番だ。内装デザインも自分で考え、お客さんも自分たちも快適に過ごせるようキッチンは広く取ったそう。奥さまのヒジンさんが作るサンドイッチはピリ辛スパイス付き。味変が嬉しい~。

インフォメーション

外観

604 SEOUL 604 서울

◯麻浦区トンギョ路49/49, Donggyo-ro, Mapo-gu 火~土8:00~18:00 日・月休

Instagram
https://www.instagram.com/604seoul/

6. small coffee スモールコーヒー

アイスコーヒー
アイスコーヒー(₩7,000※豆ごとに値段は異なる)は、抽出後に氷でキリッと冷やす。スイーツは伝統の薬果(₩1,700)。

 豆の味を楽しんでもらうため、ハンドドリップでコーヒーを淹れている『small coffee』。店主のソンファさんは自宅で焙煎をしていたのが高じてコーヒーの道へ。今は店内の焙煎機で様々な産地の豆を厳選しローストしている。「本を読んでも、パソコンを使って仕事してもいい。ゆっくりしていってください」とソンファさん。ロゴは、猫好きと知ってお客さんが描いてくれた渋い猫の絵。

インフォメーション

ハンドドリップをする女性

small coffee 스몰커피

◯麻浦区浦恩路64/64, Poeun-ro, Mapo-gu 12:00~21:00 日休

Instagram
https://www.instagram.com/_smallcoffee/

7. 望遠市場 マンウォンシジャン

おでんを立ち食いするジョンヒョンさん
おでんは立ち食いに限るな。

 望遠の中心にある細長~い市場は買い食い天国! 定番のおでん屋に始まり、大行列のチキン屋『望遠鶏カンジョン』や、『TONG KKO』のような派手なテイクアウト焼き鳥もあるけれど、地元の人がおかずを買いに来る揚げ春巻きや天ぷらが買えるお惣菜屋さんのテイクアウトも。

揚げ春巻き
『イルタ・スキャンダル』で主人公の娘ヘイたちもテンションがあがってた揚げ春巻き(₩5,000)は『ムジゲ粉食』で。
エゴマの葉がのった焼き鳥
お店は派手だけど、えごまの葉がワッサーとのっていて肉もぷりぷりな『TONG KKO』のえごまの葉焼き鳥(₩5,000)。
ヤンニョムチキン
揚げたてが食べられる『望遠鶏カンジョン』ヤンニョムチキン(1カップ₩4,000)。

インフォメーション

望遠市場

望遠市場 망원시장

◯麻浦区浦恩路8ギル14/14, Poeun-ro 8-gil, Mapo-gu 無休