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SEOUL CITY GUIDE – 龍山編 –

2023年6月18日

SEOUL CITY GUIDE


photo: Kazuharu Igarashi
coordination: Minyoung Kim(TANO International)
text: Neo Iida
2023年7月 915号初出

 初日はちょっとヒップな東側を散策したから、今日は西を歩いてみよう。散策の場所に選んだのは、龍山区と麻浦区。ふたつ並べると横に広く長~くなる。たぶん東京で言うところの目黒区と世田谷区みたいな存在なんじゃないかなと、かつて東京に住み、現在はこの地を愛するサンフンさんが教えてくれた。たしかにどちらも住宅街だし、賑やかなショッピングモールがあるわけではなく、個人ののんびりとした商店がちらほらある感じ。だけどザ・下町風情とはちょっと違い、健康への意識が高いカフェや、センスのいい洋服や雑貨を作るインディペンデントな店が多く存在している。この感じ、僕らの大好物じゃないか。

 まずは目黒区サイドの龍山から。駅前にはHYBE本社がどーんと鎮座するビッグシティな佇まいも、ひとたび裏に入れば瓦屋根の平屋や煉瓦塀が現れ、その合間に新世代の店がチラホラ。ヴィーガンレストラン『ファーメンツ』は〈fefe〉というブランドラインを作り、Tシャツやコンブチャの缶をデザインしてる。サンフンさんが働く『バトンミールカフェ』もナイスなパッケージのグラノーラやジャムを作っていて、『マンデー モーニング マーケット』の無化調のオリジナル調味料は全種類揃えたいキュートさ。フルーツ盛りだくさんサワーの『アシッド』も、果物の写真を瑞々しく撮ってグッズにしてたっけ。もちろん味はお墨付き。食を表現に結びつけるって軽やかで素敵だし、『reel
ee store seoul』みたいなピリッとした服を扱う店とも感性が合うんだろうな。さあ、さらに西へ向かってみようか。

1. Ferments ファーメンツ

『Bâton meal cafe』店長のサンフンさん。
オリジナルブランド〈fefe〉を展開し、アパレルも作っている。左が教授で右が惑星。Tシャツ各₩50,000
善玉菌入りのオリジナル発酵飲料コンブチャ(₩5,500)。弾ける炭酸に優しい甘味。

 周りの建物が低いから屋上ビューが最高! ここはヴィーガンのオーナーが「気軽に誰でも菜食に触れてほしい」という思いで始めたレストラン。化学調味料と食品添加物を一切使用せず、野菜を使ったハンバーガーやパスタ、オリジナルのコンブチャも作っている。缶のパッケージも、レジ横で販売するTシャツのデザインもカッコいい。「ヴィーガンですけど、料理がホントおいしいです。健康に気を使ってる若い人が多いから、すごく人気」とサンフンさん。

インフォメーション

Ferments 퍼멘츠

◯龍山区漢江大路7ギル22/22, Hangang-daero 7-gil, Yongsan-gu 水・木17:00〜23:00、金17:00〜24:00、土・日12:00〜24:00 月・火休

Instagram
https://www.instagram.com/ferments.seoul/

2. Bâton meal cafe バトンミールカフェ

旨さの爆弾みたいなポップオーバーパンケーキ(₩18,900)。中のチーズが伸びる伸びる。
自家製ジャムは「ラズベリー&いちご」と「パッションフルーツ&マンゴー」の2種(各₩9,000)。香ばしいグラノーラ(₩12,000)。

 サンフンさんが店長を務めるカフェも自然派。オリジナルのグラノーラとジャムは無添加で、こちらもデザインがカッコいい。オーナーが数年前に龍山を気に入り、現在は近くでカフェも経営しているという。サンドイッチやサラダ、スープなどのカジュアルなメニューが多く、人気の丸っこい形のパンケーキは、中にチーズが入っていて生ハムがたっぷり。メープルシロップをかけたら甘じょっぱ好きにはたまらない! 「ちょっと行けば漢江だから、サンドイッチをテイクアウトするのもいいですよ」

インフォメーション

Bâton meal cafe 바통

◯龍山区漢江大路15ギル33/33, Hangang-daero 15-gil, Yongsan-gu 10:00〜18:00 無休

Instagram
https://www.instagram.com/baton_mealcafe/

3. reelee store seoul リリストアソウル

ハングルで「楽しい」と書かれたパーカ(₩65,000)
マット(₩66,000)。

 〈Public Possession〉を数多く扱うセレクトショップは『Bâton meal cafe』からも近く、サンフンさんも顔馴染み。レディスとメンズは半々くらいで、いずれもデザイン性の高いポップな服を多く揃えている。海外のブランドが多いけど、大胆かつユニークなグラフィックが人気の〈MOLRICH〉は定番アイテム。

インフォメーション

reelee store seoul 리리스토어서울

◯龍山区漢江大路7ギル18-13/18-13, Hangang-daero 7-gil, Yongsan-gu 12:00~20:00 月休

Instagram
https://www.instagram.com/reelee_store_seoul/

4. MONDAY MORNING MARKET マンデー モーニング マーケット

 龍山駅から北に少し歩いた、緑道沿いのカフェレストラン。デザイナーのオジンさんと料理担当のヘミさんのふたりがオーナーで、フードのポップアップが好評で店を作ることにしたんだそう。ビビンパを意識したプレート料理は、麦ごはんにピリ辛チキンやキヌア、キャロットラペなどをトッピング。ポテトサラダの上にゆで卵をのせたウフマヨ風の料理も独創的だ。

グロサリーも充実で、オリジナルの調味料などを販売。左から、ホットワインが作れるキット(₩12,000)、バニラみかんジャム(₩12,000)、たまごのピクルス(₩11,000)、カレースパイス(₩6,000)、レバーペースト(₩8,000)、チポレソース(₩6,500)。

インフォメーション

MONDAY MORNING MARKET 먼데이모닝마켓

入り口は反対側の坂の上だが、緑道側からも入れる。

◯龍山区元曉路71ギル8/8, Wonhyo-ro 71-gil, Yongsan-gu 11:00~15:00・17:00~LO20:00 火~木休 

Instagram
https://www.instagram.com/monday.morning.market/

5. THE CHILDHOOD HOME ザ チャイルドフッド ホーム

 『セブンイレブン』の横に入り口があるのでお見逃しなきよう。『THE CHILDHOOD HOME』ではまだあまり知られていない国内の新しいブランドを扱っている。「龍山は聖水から弘大に向かう真ん中。なのにお店がなかったので、みんなの遊ぶ場所を作りたかったんです」と店長のデイブさん。例えば龍山出身のデザイナーが作っているシューズブランドだそうで、なるべく地元のクリエイターのものをプッシュしたいんだそう。ホーミー気分になれる店。

インフォメーション

THE CHILDHOOD HOME 더 차일드후드 홈

龍山区漢江大路40ギル5 2F/2F, 5, Hangang-daero 40-gil, Yongsan-gu 13:00〜19:00 無休

Instagram
https://www.instagram.com/thechildhoodhome/

6. acid アシッド

サントリーのMIDORIを炭酸で割り、国産メロンをドカッといれたサワー(₩16,000)。
Tシャツ₩42,000

 タペストリーが印象的な『acid』は、フルーツを使ったサワーやカクテルが飲めるバー。料理とお酒が好きだったソンウォンさんは元編集者で、同じく元編集者の奥さま、ボーファさんとふたりで店を切り盛りしている。こだわりは季節のフルーツをたっぷり使うこと。メロンもゴロゴロで嬉しい! グッズも自分たちでデザイン。

レモンとえごまのパスタ(₩13,000)は定番メニュー。韓国のえごま油と蟹醤油で麺をあえ、上に韓国海苔とレモンピールをパラリ。和風っぽくて美味!
ソンウォンさんと奥さまは元編集者!

インフォメーション

acid 애시드

◯龍山区漢江大路210-1/210-1, Hangang-daero, Yongsan-gu 水~金 16:00~23:00、土・日14:00~ 月・火休

Instagram
https://www.instagram.com/acid.seoul/

7. echo エコー

 コンセプトは「ジャマイカ音楽が好きな音楽鑑賞室」。音楽雑誌のエディターでもあるウーヨンさんが手掛けるこのバーでは、行き交う車を眺めながら音楽とお酒が楽しめる。コックピット型のDJブースに、スピーカーは愛知の〈Country Act Music〉製。入店は『acid』内の階段からどうぞ。

インフォメーション

echo 에코서울

◯龍山区漢江大路210-1 2F/2F, 210-1, Hangang-daero, Yongsan-gu 木・金19:00〜24:00、土19:00〜2:00、日18:00〜23:00 月~水休

Instagram
https://www.instagram.com/echo.seoul/