カルチャー

6月はこんな映画を観ようかな。

「もう6月!?」という驚愕の事実を忘れるために観たい4作。

2023年6月1日

『探偵マーロウ』ニール・ジョーダン(監)

(C)2022 Parallel Films (Marlowe) Ltd. / Hills Productions A.I.E. / Davis Films

リーアム・ニーソンが記念すべき映画出演100作目で演じたのは、なんとフィリップ・マーロウ。そう、ハードボイルド小説家のレイモンド・チャンドラーが生み出した、あの探偵だ。本作の原作は、そんな”マーロウもの”の公式続編としてジョン・バンヴィルがベンジャミン・ブラック名義で書いた、『黒い瞳のブロンド』。とある美女から消えた愛人の探索依頼を受けたマーロウが、ハリウッドに巣食う陰謀に巻き込まれていく姿を描いているのだが、水たまりに映るネオンを目にしただけで、「これぞ、ハードボイルド!」とニンマリ。さすが、ネオノアールの名作『モナリザ』を撮ったジョーダン監督だ。6月16日より公開。

『カード・カウンター』ポール・シュレイダー(監)

(C)2021 Focus Features. A Comcast Company.

『タクシードライバー』の脚本家として知られるシュレイダーの監督作。主人公はギャンブラーとして慎ましく稼ぎながら暮らす孤独な男、テルだ。元軍人で軍刑務所に10年近く入っていたという彼には暗い過去があるらしい。1人の青年との出会いでその過去と関係のある復讐劇に巻き込まれていくテルの姿が、映画批評家時代のシュレーダーの自著『聖なる映画』で論じられた「超越的スタイル」のごときストイックさで撮られる。前作『魂のゆくえ』以降、「もう70才を越えたんだから好きなことを好きにやるんだ!」という、円熟味とはまた別の過激さを極めるシュレイダーには尊敬しかない。6月16日より公開。

『ラン・ラビット・ラン』ダイナ・リード(監)

不妊治療医のサラは、ある日を境に娘がおかしな行動をとるようになったことに気づく。自分は別人だと言い出したのだ。それが引き金となりサラは秘めたる過去と向き合うことに……という不気味なサイキックホラー。監督のダイナ・リードは、あの名作『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』のエピソードを手がけたこともある気鋭。なんだから、ホラーが苦手な人も「こりゃなんかあるぞ」と観るっきゃない。その嗅覚が間違ってないことだけは保証します。6月28日よりNetflixで独占配信。

『エルドラド: ナチスが憎んだ自由』ベンヤミン・カントゥ(監)

1920年代、ドイツのベルリンには「エルドラド」という官能的で退廃的なナイトクラブが存在した。金持ちや権力者の遊び場であると同時に、LGBTQコミュニティの隠れ家でもあった「エルドラド」はしかし、同性愛を迫害するヒトラー率いるナチスに目をつけられてしまう。本作はそんな「エルドラド」をひもとくドキュメンタリー。知られざる歴史に触れられるとともに、自由と権力の関係について深く考えさせてくれる良作。6月28日よりNetflixで独占配信。