ライフスタイル

世界の部屋。/NEW YORK

2023年3月12日

シティボーイの部屋。


photo: Omi Tanaka
text: Momoko Ikeda
2023年3月 911号初出

Austin Lee
オースティン・リー|1983年、ラスベガス生まれ。未来的なデジタル感と人間らしさをミックスした作品で注目されるアーティスト。2021年に北京で大々的な個展を開催した。

「本が好きだからリビングは図書館のイメージで作ったよ」と、もちろん本棚も自作。壁にはニーナ・シャネル・アブニーや岩村遠などの現代アーティストの作品が並ぶ。扉なしでキッチンとつながっているように、オースティンの家はほぼウォークスルーで自由自在な雰囲気。

 オースティンはギャラリーの空間を鮮やかな色で埋め尽くす展示方法でよく知られているのだが、彼の自宅前に着くやいなや、目が覚めるようなクロマキーブルーに塗られた外観を目の当たりにして、住宅街にいつつも彼の作品の世界に飛び込んだような衝撃を受けた。そして室内もまたカラフル! 「家はもともと酷い状態で壁も荒れてたけど、ペンキを塗ることで見違えるように変わったよ。最近、2階をピンクにしてみたら、窓からの反射光があたたかい色合いではね返って、見るたびにすごく気分が上がるんだ。僕は作品を通して苦悩の中にあっても生きる喜びを表現してるんだけど、この部屋も色の力で喜びを感じられる空間にしてみたよ」

-LIVING ROOM-

マティスの「ダンス」をオースティン流に描いた絵。「実は壁を塗ってみてすごく気に入ったから、同じ青でこの作品を制作したんだよ。よく友人を招いてディナーパーティをするから友達の輪みたいな絵がぴったりだと思ったんだよね」。建物の骨組みをそのまま生かして棚にした壁にはクレメンタイン・ハンターの絵やヨーコ・オノの“空”が入った瓶などが飾られる。照明はイサム・ノグチのAKARI。黄色い椅子はVRを使って作った限定作品で、色違いのものを家の中のあちこちに置いている。

-STUDIO B1

地下は鮮やかな色の作品を生み出すアートスタジオ。ヴィヴィッドな色のエアブラシを使ったペインティングはオースティンのシグネチャースタイルの一つだ。

-BEDROOM-

2階の寝室はブラインドから漏れる光とイサム・ノグチの照明が合わさり、まるで雲の上みたいな不思議な空間。足元のマットは自分の展覧会用に作ったグッズの一つ。

-EXTERIOR

バックヤードに置かれた小人のようなブロンズ彫刻は彼の分身? 庭や入り口にも小さな彫刻がチラホラ。

-KITCHEN-

工具用の棚や「5分くらいで作ったよ」という木製テーブルなどを組み合わせてDIYしたキッチンは「デザイナーのビル・カッツが作る不完全な美から影響を受けてるんだ」。
食器類にこだわりはないそうだが、コンロ上には’90年代のメンフィスデザインのリメイクポッド。

-STUDIO 2F-

「自然光がよく入る2階の部屋は一番好きな空間だね。こうやって全身スーツでVRでアニメーションを作ったり、音楽を作って過ごしてるよ」。
左の壁に掛けられた〈サムソン〉のフレームは実はTV。「いわゆるテレビの形が嫌でシンプルな額縁みたいなデザインを選んだんだ。自分の絵を映していると本当に額縁みたいでしょ」

-HALLWAY & STAIRS-

廊下に置いている絵は、友人で映画監督のジョッシュ・サフディのお気に入り。
「ジョッシュは僕の作品を深く理解してくれる友人の一人なんだ。階段には友達のポートレートを飾っていて、もちろん彼のもあるよ。」