トリップ
僕の京都案内。/テリー・エリス
『MOGI Folk Art』店主 テリー・エリスさんに、京都のオススメを教わった。
2022年12月4日
エリスさんの信頼するお店で、
洋服に民藝、アートブックを吟味。
その昔、民藝に興味を持ったときは、「河井寬次郎記念館」を目的に訪れては、何時間もかけて河井寬次郎ワールドをじっくりと楽しんだものです。それから30年たった今は京都に行きつけと呼べるところがたくさん増えました。それはどれも僕にとって一般的な京都のイメージを超えた先にある一味も二味も違った京都です。河原町に2月にオープンした『BARD』は、ロンドン時代から仲のいい店主の中西正拡さんのお店。中西君は勉強熱心で本職はファッションなのに、民藝やデザインのことに好奇心旺盛で、実物も資料となる書籍も貪欲に買う。まるで若い頃の僕と恵子を見ているみたいなんです(笑)。店内も彼の性格そのもので、ブランド数を絞った思い切ったセレクトが面白いですね。
その近くのアートギャラリー『しかまファインアーツ』も、その民藝コレクションは日本随一なので、ぜひ覗いてほしいアートギャラリー。そして、四十年来の友人、小嶋康嗣さんが営む『BOOKS & THINGS』も素晴らしい、アートブックを中心にした古本屋さん。玄関で靴を脱いで、6畳一間の畳部屋で本とじっくりと対峙するスタイル。何か一冊手に取れば、店主の小嶋さんがそれ関連の書籍を奥から出してくれて、ちょうど探しているものだったりするから驚く。
そうそう、嵐山のほうには、イギリスの陶芸家、ルーシー・リーの作品が膨大に揃う『Museum 李朝 cafe & gallery』もあるし、パン屋の『進々堂 京大北門前』に行けば、日本近代芸術を代表する木工作家の黒田辰秋が手掛けた大テーブルとベンチに座って、美味しいパンを頬張れます。パンといえば、『スマート珈琲店』の美味しいパンケーキとほろ苦いコーヒーの組み合わせも大好きですね。そして、お昼は、ぜひ『無碍山房 サロン・ド・ムゲ』で。四季折々で異なる美しいお庭を眺めていただく美しい「時雨弁当」は、もしかしたら僕がここで紹介した中で、最も京都らしい体験になるかもしれませんね。
プロフィール
テリー・エリス
1961年、ジャマイカ生まれ。『MOGI Folk Art』店主。2003年に立ち上げた〈ビームス フェニカ〉では、北欧家具や民藝を啓蒙。10月に北村恵子さんと共に『MOGI Folk Art』をオープン。
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