![](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2022/10/CRT_069.jpg)
ファッション
〈CRT〉というブランドを自ら紹介しよう。
文・トロピカル松村
2022年10月25日
photo: Hiroshi Nakamura
text: Toromatsu
突然だけど、自分で自分が立ち上げたブランドの紹介をさせていただきます。斬新だよね!(笑)青春時代に誰しもが憧れるアメリカンカルチャーを追ううちに、なぜか“日本人なりのアメリカ”みたいなものの方が面白いなぁと思うようになった僕(トロピカル松村34歳)は、この“ちょっと変わった趣味”歴が今年で20年を迎えた。特に好きなのは70年代~80年代初期頃。今でこそ昭和がブームになったりしているけど、僕がその年代にハマり始めた14歳くらいのときは、そんな時代のリアルな若者の格好をしている人なんて誰一人いなくて物凄く白い目をされていたんだから!
![トロピカル松村](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2022/10/CRT_065-1-1600x1067.jpg)
ブランド名は〈CRT〉と名付けました。意味は調べればわかると思う。立ち上げたのは〈KURO〉という世界に羽ばたいているデニムブランドを手掛ける先輩、八橋佑輔(やつはし・ゆうすけ)さんとの出会いがきっかけ。八橋さんは僕が持っているスポーツグッズや服、玩具、本、レコードといったコレクション全てに興味を抱いてくれて、特に70年代後半に日本でブームを巻き起こしていたデザイナーズジーンズ(またの名をディナージーンズとも言う)の数々を見て「トロちゃん、これ作ろうよ!」と大興奮。しかも八橋さんは〈KURO〉ではなく僕のブランドとして作ってくれるというのだ。
![トロピカル松村(左)
八橋佑輔(右)](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2022/10/CRT_059-1-1600x1067.jpg)
それからはほぼ毎日、八橋さんが僕の自宅に来て、ああしよう、こうしようと繰り返し話す日々が続いた。僕の好きな1976年のスキーマガジンを見せて「スキーデニムを作りたい」と伝えてみたり、1971年全日本フォークジャンボリーのレコードジャケットを見て「ボーイスカウト的なジーンズを作ろう」と意気込んだり。八橋さんはそれらのスポーツ要素を汲み取り、あえて片手で外せるスナップボタンにするなど、いろんなカルチャーにハマるように調整し、ストレートとフレアの2本を開発してくれた。穿いてみると当時っぽさもありながらめちゃくちゃモダンに仕上がっていてビックリ仰天。しかもユニセックスにしていると聞いて感動した。中でも特に拘ってくれたのがウォッシュ加工。ほとんど誰も知らないと思うが、サーフィン映像とジーンズプロモーションを融合させたCMが最高に泣ける〈ビッグジョン〉のダブルウォッシュジーンズの独特の色味を、製法も含めて完全再現している。
![八橋佑輔](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2022/10/CRT_044-1-1600x1067.jpg)
〈KURO〉の背景があるからジーンズが最大の強みではあるが、他にもいろいろ作っていく。僕は80年代初期のショップ&ブランドロゴトレーナーのコレクターでもあって(原宿〈クルーズ〉や、自由が丘〈ウェイアウト〉、辻堂のサーフショップ〈ポイサン〉など)、そんな雰囲気のトレーナーも作った。釣り編み機で作ったから着心地も凄く良い。70年代初期のバイコロジー運動における自転車の遠乗りカルチャーも好きだから、今は懐かしいカッパ型のライトアウターも開発中である。これもお楽しみに。
![トロピカル松村](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2022/10/CRT_077-1-1600x2400.jpg)
![CRT](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2022/10/CRT_086-1-1600x1067.jpg)
出来上がったジーンズを一言で説明するなら、昭和のアメリカンジーンズという感じかな(ざっくりだけど)。僕は海外で日本の古い音楽や車が流行っていたりするのは、西洋の文化を真似た日本の独自性がウケているのだと勝手に思っていて、洋服でもそういうものがあればいいのにと考えていた。日本製で、岡山で、なんていうのは〈KURO〉の背景が活用できるから当然。むしろそこよりもタグの“全国標準小売価格”の文字とか、“Jeans&Sports”という“あの頃の日本らしいフレーズ”に目がいってほしく、実際そういうアプローチで海外にもがっつり広めていく所存である。ちなみに当時の洋服の“スポーツ”は“カジュアル”の意味として使われていたが、〈CRT〉では本当のスポーツの意味としても使っている。僕のようにサイクリングやワンダーフォーゲル、サーフィン、スケート、スキー、フリスビーやピクニックなんかが好きな人に穿いてもらえたら嬉しくてたまらない。
![〈CRT〉のジーンズ](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2022/10/CRT_004-1-1600x2400.jpg)
![〈CRT〉のジーンズ](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2022/10/CRT_007-1-1600x2400.jpg)
![〈CRT〉のジーンズ](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2022/10/CRT_074-1-1600x1067.jpg)
そして古い雑誌が大好きな編集ライターの僕としては、やはり「せっかくブランドを作るなら広告を作らせてほしい!」と八橋さんに懇願。自分のブランドだったら周りの意見に左右されることなく好きなようにできるからだ。具体的にどういうのかと言うとジーンズの宣伝なのにジーンズを穿いていない子供を起用してみたり、普通に他ブランドの製品の魅力にも頼ったコーディネートで自分のブランドの世界観をより明確にさせてみたり、ある人の格言を勝手ながら拝借してコピーライトに使ってみたりもした。自慢じゃないが、20年探求してきた知識の蓄えがあるのでまだまだやりたいアプローチが有り余っている。
![](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2022/10/CRT_002-1-1600x1067.jpg)
編集ライターとしての取材原稿などを待たせてしまっていたクライアントには申し訳ないと思いつつも、〈CRT〉の名刺や、ステッカーを作るのに夢中になってしまった。何か始めたくてもなかなかスタートできない、という人は結構多いと思うけど、なぜ自分ももっと早くブランドを作らなかったのかと思ってしまったほどに楽しくて仕方がないわけ。でも当然、自分ひとりではこんなカッコいいジーンズやウエア(自画自賛!)を作ることなんてできなくて、僕の世界に共感してくれた、まるでお兄ちゃんのように似た雰囲気のデザイナー八橋さんと出会えた今だからこそスタートすることができたのである。
![](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2022/10/CRT_090-1-1600x1067.jpg)
![](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2022/10/CRT_093-1-1600x1067.jpg)
商品の発売は来年の2月を予定している。ありがたいことにたくさん予約がついて、インスタグラムのフォロワーも247人(2022/10/18現在)まで伸びた(笑)。展示会でいろんな人に会えたのはここ最近でもっとも楽しかった出来事のひとつになったし、みんなの「おめでとう」の言葉も嬉しくてたまらなかった。今じゃないと成せなかったことなんだろうけど、でもやっぱり好きな世界観をブランドという形に変えようとしてこなかった少し前までの自分には活を入れてやりたい。だから今回作ったキャッチコピーのひとつ“アクティブに生きると決めた”は全国のシティボーイズ&ガールズに捧げる言葉で、それに加えて好きな世界を20年も追いかけつつ何も始められずにいた自分に向けた言葉でもあるんだ。
![](https://popeyemagazine.jp/wp-content/uploads/2022/10/CRT_089-1-1600x1067.jpg)
インフォメーション
CRT シーアールティ
Official Website
https://crt-jeans.com/
Instagram
https://www.instagram.com/crt_jeans/
プロフィール
トロピカル松村(CRTディレクター)
とろぴかる・まつむら|1988年、兵庫県生まれ。編集ライター。サーフィン専門誌の編集者を経て2017年に独立。幼い頃からファッション、スポーツ、音楽、玩具、風俗などにおける和洋の文化を探求。二子新地でサーフサウンドや、ディスコなどを扱う小さなレコード店『トロピカルレコード』を運営している。
プロフィール
八橋佑輔(CRTデザイナー)
やつはし・ゆうすけ|1981年、東京都生まれ。2010年にブランド〈KURO〉を設立。〈RIMOWA〉のワールドキャンペーンでは北野武らと共に「世界のクリエーター9人」に選出される。企業のユニフォーム、ウィメンズなど様々なデザインを手掛けているが、デニムを軸としたカルチャーの発信に勢力を注ぐ。
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