カルチャー

9月はこんな本を読もうかな。

「もう読書の秋!?」とうろたえずに集中して読みたい4冊。

2022年9月1日

text: Keisuke Kagiwada

『ポスト資本主義の欲望』
マーク・フィッシャー(著) 大橋完太郎(訳)

先鋭的なポップカルチャー論者であるマーク・フィッシャーが、2016年度にロンドン大学ゴールドスミス・カレッジでおこなった講義録。生涯をかけて、資本主義社会を覆う閉塞感を暴き、その打破を試みようとした彼の次なる思考の断片が、“生”のまま放り投げられる。しかし自ら命を絶ってしまったため、その断片がひとつの形に収まることがなかったのが残念だ。その仕事はこの読者に委ねられている、ということだろうか。¥2,970/左右社

『アフロフューチャリズム ブラック・カルチャーと未来の想像力』
イターシャ・L・ウォマック(著) 押野素子(訳)

アフロフューチャリズムとは、「想像力、テクノロジー、未来、解放の交差点」であり、「SF、歴史小説、思弁小説、ファンタジー、アフリカ中心主義、マジックリアリズムといった要素を非西洋的な思考と結びつける」思想のこと。そのポテンシャルを具体的なポップカルチャーを通して解説したのがこちら。この概念に対する日本人のコミットの仕方を語った大和田俊之さんの解説まで、一気に読める好著。¥2,640/フィルムアート社

『厄介者のススメ ジョン・ウォーターズの贈る言葉』
ジョン・ウォーターズ(著) 柳下毅一郎 (訳)

『ピンクフラミンゴ』などで映画史にその名を刻む、当代きっての変態映画監督ジョン・ウォーターズ。高校を停学になり、開校以来はじめてのマリファナ・スキャンダルを引き起こして大学を退学した過去をもつウォーターズが、2015年に行ったロードアイランド・デザイン学校の卒業式の祝辞を全文収録した1冊。「さあ、世界に出ていって、そいつをファックしてやりなさい。美しく! 」。¥2,090/フィルムアート社

『あと10歳若くなる! DJ KOO流 心・体・脳の整え方』
DJ KOO (著)

還暦を過ぎてもなお、いつも元気に“ヒューイゴー”なDJ KOOさんが、まさかの健康本をリリース。メンタル、健康、仕事、人生など自身を支えてきた選りすぐりの“ルーティン”を54個も紹介している。若返り健康法のおなじみの池谷敏郎先生が推薦しているのだから、役に立つこと間違いなし。¥1,650/PHP研究所