カルチャー
【#1】好きなレコ屋と私(そのいち)。
2022年7月11日
text: Tsunaki Kadowaki
edit: Ryoma Uchida
私が思うに、レコ屋やレコードの魅力とは、その1、ズバリ「香り」である。
お店の空気だけでなく、品ぞろえや店主の思想に、スタンス、美意識に至るまで、色んなレコ屋の「香り」が、私自身と私の部屋にも染み付いていて、それらがこれからも薄れてしまうことは無さそうだ。それは、実際によく実店舗に通ったか、通販だったかも問わないと思う。
私に染み付いた、最新の「インディ」ミュージックの香りは、大学1回生の時に初めて「新譜の店」として意識し始めた、原宿のBig Love Recordsという存在によるものだ。

現行の「インディ」ミュージックと、そのカルチャーに極めて特化した、文脈的にも渋谷系の数少ない直系の生き残りといえるお店である。
大学2回生の夏、3週間ほど東京に滞在したときに、実に3回も原宿へと足を運んだが、それもまさにこの店にいくためのことだった。
𝔩𝔦𝔫𝔤𝔬𝔧𝔞𝔪なヴァイブの漂う、白く大きな買い物袋のこのフォントは愛おしいもので、買うたびに捨てられずに部屋に溜まっていく。
2回目の来店時、マルくんが会計を忘れていたことに気づいて、翌日、お金を支払いに向かったら、仲さんに「関西人を見直した」と言われたことを地味に覚えている。(Big Loveと店主の仲さんに)「感謝している」と伝えると少し照れくさそうにお礼を言ってくれた。
足を踏み入れるには、かなり敷居の高いお店ともよく言われていたけれども、レール踏み外しまくり、アウトサイダー側の人間の私にも不思議とあの店の開放的な空気はよく馴染んだ。

Big Loveには飲食可能なバーのスペースが常設されていて、カウンターで飲み物を頼むと、オマケでお菓子を出してくれる。通販で買っても付けてくれるのが何よりの好ポイントである。
最新のインディが流れるなかで、意外とこじんまりとして落ち付いてもいたあの空気感も好きだった。
「山下達郎なんて聴かなくていいよ」(※意図は深めに汲み取って欲しい)、などに代表される、店主の仲さんのカゲキで波紋を呼ぶ発言に、色々と勇気づけられていた、当時の私であったが、そんな仲さんがあるときの「Big Love TV」で、まさかのシティ・ポップを紹介していたことにはグッときたりもした。
まだCD再発が為されるよりも2年前、シティ・ポップ・ブームで再評価が大きく進展する前のこと。カルト人気なシティ・ポップ系のシンガー、早瀬優香子の作品で、秋元康&西平彰という名タッグによる86年の傑作『躁鬱 SO・UTSU』だった。当人としては、当時からおなじみなんだろうけど、リバイバル以後の視座としては先駆的なポイントを突いてもいる。
ちなみに↓は私がこの店で出会った音楽で最も心に焼き付いた曲であり、私にとっての「テン年代」のアンセムとして、今も在り続けている。

このBig Loveというお店の持つ最大の魅力であり、彼ら自身の原動力でもある「インディ」へのまなざしとスピリットは、私が「レコ屋」という場から受けた最初のインスピレーションであり、まさに初心というべきものでもある。
私に染み付く「レコ屋の香り」、そのいち、「インディ」ミュージックとそのカルチャーの香り。
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