主人公の春樹は四川省成都出身の女優だ。しかし、長いこと標準中国語で生きてきたため、成都語は喋れない。決まりかけていた映画への出演も、それが判明してたち消えになってしまった。人生に行き詰まりを感じる彼女は、数十年ぶりに成都に帰還し、かつての演技の先生、「国民的な女優になるなら標準語で喋るべし」という考え方の持ち主であり、つまりは春樹の成都語を奪った張本人と再会する。言語によって故郷を喪失した春樹が、先生やその息子らと時間を過ごす中で、言語とはまた別の仕方でそれを取り戻していく姿には、静謐な感動を禁じ得ない。7月3日よりシネスイッチ銀座にて公開。同じくチャン・リュル監督の『ルオムの黄昏』も同時公開。
『純文学って何だよ』を読む。
純文学の限界に挑戦してきた著者が、高瀬隼子、町屋良平らを酒場に呼び寄せ、改めて問う。純文学って何だよ。酒場であるがゆえの砕けた口調によるその語らいは、カジュアルだがリアルだ。読後、その正体はわかるか...
『いま、ここにある神話』を読む。
現代社会の背景には、古来より人間が育んできた神話的思考が息づいている。デパートの物産展や駅弁から、所ジョージ、果ては電動バイクで旅する出川哲郎にまで、神話的な力学を見出していく著者の視線に感動。こん...
『ある結婚前の風景』を読む。
ブルックリン在住の日系4世の作者が、恋人サラとの結婚式までの前途多難な道のりを描いたエッセイコミック。笑えると同時に、これから結婚式を予定しているすべての男女には学びも多い一冊だ。そして、2人の未来...
『また会えるよね』を観る。
南フランスの寄宿学校を舞台に、卒業を間近に控えた高校生たちの日常を追ったドキュメンタリーだ。親との関係や将来の進路に悩む一方、宿舎での馬鹿騒ぎ、川遊びやハイキング、そしてレイヴパーティで日々を楽しむ...
『よき谷の物語』を観る。
スペインのバルセロナ郊外にあるバルボナ地区。都会のほど近くにありながら、風光明媚なその“よき谷”で、実際に暮らす人々を捉えたドキュメンタリーだ。一見すると牧歌的な佇まいの彼ら彼女らだが、その口から語...