名脇役・バナナブレッドを大調査!
2021.10.27(Wed)
photo: Kazuharu Igarashi
text: Nozomi Hasegawa
※重さとサイズは編集部実測。
2021年11月 895号初出
一杯のコーヒーを求めて店に入ったのに、レジ横に並ぶ焼き菓子に釘付け。華やかなキャロットケーキにどっしりと構えるブラウニー。魅惑たっぷりのプロポーションで、小腹をビシビシ誘惑してくる。そんなスターに隠れ、素朴で目立たない存在だけれど、居心地のいい店に必ずといっていいほどあるのが、バナナブレッドだ。しっとりした生地に頬張った瞬間広がるバナナの風味。コーヒーのお供としてこれ以上ない魅力があるにもかかわらず、あまり意識してこなかった。その魅力を探るべく、東京中のバナナブレッドを実食、大好きな8個を見つけた。こうして比べると、見た目だってずいぶん違うし、味も食感も個性がある。さて、君のBBB(ベスト・バナナブレッド)はどれだろう?
とろけてしまいそうなしっとり感。

HEIGHT 8.5cm
DEPTH 2.5cm
131g
お菓子好きで、かつ環境や食料問題への意識も高い店主のユキさんが作る焼き菓子はすべて「誰でも食べられるように」とビーガン仕様。乳製品や卵は使わずにアメリカンスイーツさながらのうっとりする甘さと、口に入れた瞬間溶けたと思うほど、しっとりした生地と食べ応えを実現している。パクッとかぶりつけば、その食べやすさに驚くはず。¥550
ovgo B.A.K.E.R Edo St.
ケーキ類は店頭のみ販売、クッキーは通販も可。◎東京都中央区日本橋小伝馬町10-8 03·6667·0328 11:00~19:00、土・日10:00~18:00 無休 ovgo.thebase.in/
わざわざ買い付けた国産素材の安心感。

HEIGHT 7.5cm
DEPTH 2.7cm
88g
完熟バナナと少し青みの残るバナナの2タイプを程よく混ぜて焼き上げることで、自然の甘味を生かしつつ、ふんわりした口当たりに。噛むほどに生地の旨味を感じるのは、うどん作りで重宝される中力粉を使用しているから。無農薬小麦や、千葉県「赤座農場」の卵、老舗油屋のなたね油など、選りすぐりの素材をスタッフ自ら各地で買い付けて作る。¥388
ONIBUS COFFEE 奥沢店
奥沢店で製造。その過程で出る切れ端ラスク(¥500)も販売。◎東京都世田谷区奥沢5-1-4 03·6321·3283 9:00~18:00 火・水休
禁じ手ともいえるたっぷりチョコレート。

HEIGHT 7.5cm
DEPTH 2.5cm
78g
下北沢駅と三軒茶屋駅のほぼ真ん中にあるコーヒースタンドの定番メニューは、バナナと相性が良くないわけがないチョコレートをたっぷりと。ご存じ王道コンビの甘さを感じた後からやってくるスパイシーな香りと独特の甘味は、焼く直前に加えたシナモンのなせる業。クルミでカリッと香ばしさもプラスし、ただ甘いだけじゃないのが嬉しい。¥420
YOUR DAILY COFFEE 代沢店
本店を上町に構え、自家焙煎のスペシャルティコーヒーを提供。◎東京都世田谷区代沢4-38-4 なし 9:00~18:00、土・日・祝~19:00 月、第2・4火休(祝日の場合は翌日)
食感を残したバナナの存在感たるや!

HEIGHT 6cm
DEPTH 3cm
72g
爽やかな浅煎りコーヒーに合うようにと、味のパンチや甘さは控えめに。きび砂糖を使用することで、すっきりほっこりな甘さに仕上げている。バナナのゴロッとした食感を残すため、生地を混ぜる際に極力バナナを潰さないようにしていて、食べ応えがあり、口の中でちゃんとバナナを感じる。小ぶりだけれどずっしりとしているからお腹も大満足だ。¥390
Passage Coffee Roastery
店主の佐々木さんはエアロプレス世界選手権で優勝した経歴の持ち主。コーヒーも自慢。◎東京都世田谷区祖師谷4-25-22 03·6411·9316 10:00~19:00、土・日9:00~ 無休
何度も食べたくなる素朴な味。

HEIGHT 8cm
DEPTH 2.5cm
121g
バナナブレッドといえば忘れてはならないのが、幡ヶ谷『Sunday Bake Shop』。つとに知れた名品は、“ぼんやり食べ進めるうちに「おいしいなあ!」と思えるもの”を目指したという店主の嶋崎さん。ガブリと一口頬張れば、ほのかに香るバナナと、どこかで食べたことがあるような懐かしさを覚える素朴な味わいが五臓六腑に沁みわたる。¥380
Sunday Bake Shop
火・木・土は飲み物メインの日。バナナブレッドはそれ以外の日を狙おう!◎東京都渋谷区本町6-35-3 なし 7:30~17:00、火8:00~15:00、木・土7:30~15:00 月、最終水休
超濃厚バナナブレッドは純喫茶にあった。

HEIGHT 7.3cm
DEPTH 3cm
79g
西荻窪で50年近く営む喫茶店『どんぐり舎』。お客さんだった吉祥寺の焼き菓子店『スリーミー』の店主、飯田さんがバナナブレッド作りを担当している。パウンド1本につき使うバナナはたっぷり4本。もはやバナナじゃないの? と思うほどの香りと舌触りでナチュラルな甘さがこの店自慢のほろ苦ブレンドコーヒー(¥520)とベストマッチ。¥400
どんぐり舎
西荻窪駅から歩いて3分、1947年開業の純喫茶。コーヒーは自家焙煎で、常時10種類以上の中から注文ができる。◎東京都杉並区西荻北3-30-1 03·3395·0399 10:30~20:00 無休
あま~すぎないさっぱり大人な味わい。

HEIGHT 9cm
DEPTH 2.2cm
107g
ピーチのような果実味や、ハーブの香りを感じる浅煎りコーヒー。その味を邪魔しないサイドメニューをと、店主の鈴木さんがたどり着いたのが、ベーカリーと焙煎工場を営む『ビースクエアード』が作る100%天然酵母のバナナブレッド。温めればしっとりとした生地にふっくら感もプラスされ、ケーキとパンの中間のような食感。甘すぎないのも◎。¥350
GLITCH COFFEE & ROASTERS
コーヒーの説明も丁寧だから、シングルオリジンを飲んだことがない、なんて初心者も入りやすい。◎東京都千代田区神田錦町3-16 香村ビル1F 03·5244·5458 8:00~19:00 無休
雪化粧のような砂糖掛けが目にも美しい。

HEIGHT 9cm
DEPTH 2.2cm
107g
店主の増崎さんがロンドンで食べたバナナブレッドにならい、上にかけたのは真っ白なグラニュー糖。ジャリッとした食感がクセになって、無心で食べ進めたくなる。使用するのは完熟バナナのみ。シンプルだからこそ、贅沢に作る。生地にはバターを加え、さらに洋酒で風味付け。キュートさに惹かれるが思いのほか上品。テイクアウト¥473
buik
イートインだと682円。季節ごとに替わるパイやスコーン、クッキーなど焼き菓子の種類が豊富。◎東京都港区南青山4-26-12 03·6805·0227 12:00~17:30 日・月休