ライフスタイル
【#1】ビーチコーミング事始め
執筆: Shige Beachcomber
2021年10月8日
photo & text: Shige Beachcomber
edit: Yukako Kazuno
ビーチコーミングとは「浜辺を歩いて打ち上げられた漂着物を集めたり、観察すること」を言います。もとは英語圏の言葉で、「浜辺」のbeach(ビーチ)と「櫛(くし)けずる」のcombing(コーミング)を合わせたもので、「浜辺を櫛けずるようにていねいに見ていく」というところから名づけられたものです。
ビーチコーミングという言葉が定着してきたのは2000年以降で、最近では新聞や雑誌の見出しにも登場しています。そしてビーチコーミングを楽しむ人たちをビーチコーマーと呼んでいます。子どもたちが浜辺に行くと色や形の美しい貝殻を見つけ、夢中になって貝拾いをすることがあります。それがまさにビーチコーミングですね。

さて、私が初めてビーチコーミングという言葉を知ったのは、今から40年以上前の1977年でした。それは何と12月25日発行の『POPEYE』21号‼︎ 片岡義男さんのエッセイ「ビーチコーミングというとてもアメリカらしいホビーの話をしよう…。」からでした。ここで紹介されていたのは、Amos Woodさんの『Beachcombing for Japanese Glass Floats』という本。その内容は、日本の漁業で使われていた網や、はえ縄の「ガラスの浮き玉」が網やロープから外れて海に浮かび、北太平洋海流に乗ってアメリカ西海岸に届き、それをコレクションする人のためのガイドブックでした。
紹介されていたこの本がどうしても欲しくなり、今のようにAmazonやABE BOOKSといったネット通販も無い時代でしたので、『丸善』の洋書売り場にオーダーして、およそ3か月後に手に入れたのでした。一番驚いたのは青森にある北洋ガラスと言う会社で作られていた「ガラスの浮き玉」の製造工程が載っていたことでした。それだけではなく、表面に記された日本語や屋号のマークまでも分類し、解説があったのです。

この本に影響され、アメリカにまで流れ着く「ガラスの浮き玉」だから日本の浜辺にはいくらでもあるのだろうと海に向かいました。ところが出かけた近場の愛知県知多半島の浜辺は、すでに堤防に囲まれ砂浜も狭く「ガラスの浮き玉」など見当たりません。鬼崎や豊浜の漁港で漁師さんらに尋ねても、「昔はあったなぁ~」の返事が返ってくるばかり。漁港の脇に積んであるのはオレンジ色のプラスチック製しか見当たりませんでした。

次に太平洋に面した渥美半島の表浜にも脚を延ばしました。渥美半島にはまだ堤防が無く、広い砂浜を歩きましたが春の砂浜はハマダイコンのピンクの花が咲き、キレイな砂浜が続くだけ。「ガラスの浮き玉」は一つも拾えず、もうアメリカに流れて行って日本には無くなったのかな…『Beachcombing for Japanese Glass Floats』は、ガラスの浮き玉のバイブルとして本棚に仕舞われました。そんなわけで、ビーチコーミングという言葉も、頭の片隅に押し込まれて行きました。
それからおよそ10年が過ぎたころ、本屋で手にしたのが石井忠先生の『漂着物事典・海からのメッセージ』でした。写真や図も多く、漂着物全般を扱ったこの本、著者の石井先生は何でも拾われるようで、とても親近感がわきました。子供のころから私も石ころやら、化石、未舗装路に埋もれた碍子、畑の矢じりなどなど、拾うことが大好きだったものですから。その後も石井先生の著作を見れば買い求めていました。

そしてまた10年ほどが過ぎた1999年のゴールデンウィーク! 近所の本屋の店頭で手にしたのが『新編漂着物事典』でした。本のサイズも大きくなり内容も倍増! ゴールデンウィークの間読み続け、これは漂着物のバイブルだ! という思いに至りました。そして何か目標となる漂着物を探し、ビーチコーミングを意識した浜歩きが始まったのです。
プロフィール
Shige Beachcomber
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Official Website
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