ジェイク・フェルプスが着てたみたいに。

サンフランシスコでダウンヒルがしてみたい。なんて詮ないことを思ったりする。GX1000のムービーを見たときなんかは特に。スリリングでクレイジーでとびきりクール。さすがはスケートマガジンの金字塔、『THRASHER』を生み出した街なのだ。で、スタイリストのマッシュこと松本文平は、そのアイコンであり30年近くにわたってエディターをしたジェイク・フェルプスが好きだった。2019年に56歳で急逝してしまったが(R.I.P.)、逸話に事欠かない彼の足跡やふるまいや言葉は、知るほどにカッコよくて、シャツやパーカにベスト(主にヨレヨレの〈カーハート〉で、ときにはニットベストに重ねることも)というスタイルが、ますますシブく見えてくる。
というわけで、その姿をスケートボーディングとして再現することにした。協力してくれたのは「川」のクルー。写真家の荒川晋作さんとフィルマーの長岡斉さん、そしてスケーターの田村星斗くん。手ぬぐいを頭に巻いて(日本のスケーターにはお馴染みらしい)、汗だくになりながら森の中のパークでトリックをメイク。その一瞬はたちまち捉えられたのだった。バックサイドスミスグラインド。着地もバッチリ(スケート写真ではそうじゃなきゃ完成しない)。ダックのベストとシャツとスケートはやっぱりクールな組み合わせだったし、ハードにクラッシュしたりもしなかったが、丈夫なダックならちょっとは安全なのかもな、とも思った。まあジェイク自身は怪我してばかりで、カルテは290ページ以上もあるらしいけれど。最後に、彼の名文をひとつ。「スケートを教えてくれるのは何か? ファッキン・コンクリートだよ」

プロフィール
川
かわ|2016年、スケートフォトグラファーの荒川晋作と関川徳之によって始まったプロジェクト。のちにフィルマーの長岡斉、デザイナーの榎本真人も参画し現在は4人体制になっている。日本各地での展示やシューティングツアー、本の出版、映像の制作などスケートにまつわるクリエイションを精力的に続けている。