ライフスタイル
【#3】大人たちのおままごと
2021年9月28日
photo&text: Mototsugu Fujii

定食屋さんになんか入りまして、脳内で「孤独のグルメごっこ」をすることに一時期はまっておりました。店内の壁に並ぶメニューを眺めながら「まだこういう店ってあるんだよなぁ」とか、味噌汁の三つ葉を食べながら「そうそう、こんなんでいいんだよ、こんなんで」ですとか、いちいちとんかつに何をかけるか迷って「これは大変なことになっちゃったぞ」と言うのです。もちろん脳内で、です。実際に口にだしちゃってたら、それはもう病気です。
友人と歩いておっても、すぐに「次のお店はこちら!」や「おやおや、そっちじゃないですよ」などとテレ東系の番組風のナレーションを勝手にはじめてしまいます。なんべんも見たはずの看板を指して「不思議な看板ですね、ちょっとはいってみましょう」と高めの声で反応している私。いちいちつきあわされる友人も可哀相です。
つまりはごっこ遊びですな。なにかを真似して遊んでみる。私の例は金がかからず、財布に優しいですが、皆さまはどうでしょうか。存外、最近は何かにつけ、このごっこ遊びが多い気がいたします。
例えば、最近流行りのキャンプ。外でご飯を食べるというのはじつに楽しいものですが、焚火をして湯を沸かし、フライパンやらなんやらでベーコンですか?焼いたりなんかして。あれなんかは子どものときのままごとを彷彿といたします。
モノに拘りはじめたらごっこ遊びのはじまりでしょうか。実際の使い心地云々を口にしてはいますが、やっぱり道具をつかっているときの「ごっこ」感が大事なのです。最近のSNSじゃ、ホットサンドメーカーなんていうちょっと洒落た代物で料理する人を見かけますが、あれを見るたび、脳内にとある夫婦の会話を想像してしまいます。
「ちょいとさぁ、ホットサンド作るのはいいけどさ。使ったらすぐ拭いて壁にかけといてよ。こんな大股広げて干されたんじゃ、洗ったお皿置けないじゃないの。それにチーズ使うのはいいけどさ、コンロに落ちたのはちゃんと拭いてよ」
「え、なんだい。今日機嫌悪いの?」
「なんでそんな話になんのよ、ああもう腹立つ」
そんな夫婦喧嘩の元になったりなんかしまして。実際の結婚生活ばかりは「ごっこ遊び」とはいきません。
プロフィール
古本屋弐拾dB店主(藤井基二)
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