調べても出てこない蔵前のベドラムの店にはもう行ったか?
2021.09.23(Thu)
photo: Kazuharu Igarashi
text: Tamio Ogasawara
2021年10月 894号初出

最初に〈ベドラム〉の服を見たのは神宮前の『プロップスストア』だった。左胸に小さくワンポイントでブラジャーが入ったTシャツで、ブランドのことはよくわからないけど、好きな店に置いてあったし、ちょっと笑えたので試しに買ってみたのが6、7年前のことである。
デザイナーは、インド出身、東京育ちのニハール・ジャベリくんと、NYにいる相方のダニエル・テーガーくんのふたり。てっきりニハールくんひとりでやっていると思っていたから意外だったが、れっきとした東京のブランドであり、噂には聞いていたが、〈ベドラム〉の店ができたのが、東東京の蔵前だった。いい街だが、なぜ蔵前かというと、インド人コミュニティがあるからとのこと。確かに近所にはインド食材を扱う有名な『アンビカショップ』もある。でも、何にも告知されていないし、グーグルマップにも出てこない。唯一の案内は、浅草駅の松屋浅草の前の看板くらい(笑)。今のご時世、情報が軽薄すぎて、パリの先進的な若者はスマホも使わないくらいだし、こういったスタンスは最高である。

店はというと、昔の原宿にあったような懐かしい〝匂い〟がした。そういえば、ニハールくんって裏原のことにやたら詳しかったが、「意識はしていないんですけど、頭の片隅に残っているのかも」とのこと。ものづくりはどれもちゃんとしているし、蔵前に行く理由がまたひとつ増えて嬉しい。
〜 まずはロンTあたりからどう?〜

単色ものは定番で、新しく作ったボーダー柄は生地から日本製のオリジナル。インドの国旗のカラーをイメージした配色になっていて、しっかり肉厚で着心地もなかなかいいのだ。
〜 べドラムといえばコレである。〜


インドは一度でも行くと人生観が変わるというが、インドと日本のカルチャーを掘り下げ、ミックスさせるのが〈ベドラム〉。それぞれの国旗が並ぶのがいいね。2トーンが今季初登場のアメリカ製キャップのグラフィックもインド寄りで。
〜 そのうちZineも売るとか売らないとか。〜

ラックには珍しいZineが並ぶ。左上から時計回りに、茨城のショップ『ループタウン』が発行する『Whiff Diary』に、『CRACK GALLERY』の『The Big Issue』、台湾のアーティストdadalostyleのZineに、カナダ発の雑誌『Lily Pad』など。
〜 ボディはなかなかにヘビーウェイト。〜

毎年作っているというヘビーウェイトのパーカ。ナチュラルな色目は『プロップスストア』と東京以外のショップだけで売られていたそう。どこでも同じものが売っているようでそうではないのが、〈ベドラム〉の面白さのひとつだ。
〜 ちゃんとアウターもあるのだよ。〜

マウンテンジャケットのようであり、ミリタリージャケットのようでもあるニハールくんの好みが詰まった一着。中綿には3Mシンサレートを使い暖かく、でも、ベンチレーション付きだから自転車に乗っても暑くならない。
〜 インドカラーのトラッドスタイル。〜

こういったトラディショナルなウール製のセーターも作っている。〈ベドラム〉にしては意外性のあるアイテムだが、カラーリングはばっちりインド国旗で。
〜 ハンドメイドのオリジナルキャップ。〜

赤い着物の生地や、インド製の玉虫色のもの、バーズアイのような変わった織り地のオレンジのコットン地など、ひとつひとつ素材にこだわったキャップ。日本のヘッドウェアブランド〈ORGAN〉のハンドメイドで、フィットもグッド。
〜 インドメイドのサングラスがある。〜

見たことのないサングラスがあると思ったら、インドの〈devotie〉というブランドとのコラボ。イタリアのアセテートを使ったフレームにブルーグラス。ニハールくんいわく、「インドは暑いからクイックに」とサイドはストレッチ仕様。
〜 バンクーバーのCRACK GALLERYとも。〜

Tシャツは〈ベドラム〉のオリジナルに紛れて、バンクーバーの『CRACK GALLERY』とコラボしたものも。『CRACK GALLERY』が出しているZine『The Big Issue』もお店に置いてあるので、見せてもらおう。
〜 tokyo gimmicksのハンドメイド。〜
ベルトとコインケースは〈tokyo gimmicks〉が手掛けるハンドメイド。ベルトはギュッと締められるよう肉厚なコーデュロイに、問屋街でゲットしたDリングを装着。トランプやサイケなドラゴンボール的グラフィックが入るコインケースは個性が強めで。
〜 バックパックもハンドメイドだ。〜

まずサイドにメッシュポケットが付いているのがよくて、中を開けると、クッション入りのPCスリーブもある。ボディはエアバッグにも使われる撥水性のある頑丈なナイロン素材で、1個ずつ〈SEEP〉がハンドメイドの日本製。赤と茶が蔵前限定だ。
BEDLAM
ブランド設立は2012年。東京だけでも『PROPS STORE』『SUNDAYS BEST』『I&I STORE』など卸先はたくさんあるのだが、そこだけで買えるものもあれば、この蔵前だけで買えるものもある。○東京都台東区蔵前3-9-5 ☎なし 12:00~19:00 不定休