ライフスタイル

第1話: カフェインの自己実験。

文: ロジャー・マクドナルド

2021年9月3日

text: Roger Mcdonald

先月ある自己実験を実践しました。

1ヶ月カフェインを完全にやめました。これはコーヒーとすべてのお茶類を「絶って」、ハーブティーだけを飲む習慣に切り替えたということです。

私はもともとすごいコーヒードリンカーではないですが、平均的に1日一杯は飲んでいました。この実験のきっかけはアメリカの食ライターのマイケル・ポーランのある記事でした。彼もカフェインを「絶つ実験」をし、その効果について語っています。最初の2−3日は少しイライラの気持ちがあったと感じました。やがて、これは消え、1ヶ月問題なく過ごしました。この期間が終わったある日曜日の朝に家でコーヒーを作り、いっぱい(1 cup)飲みました。飲んでから約5分が経つと、明らかな変化が体と意識に感じるようになりました。強い「カフェインラッシュ 」のようなものではなく、非常に穏やかで、かつ意識が「咲いているような」感覚です。それから約3時間非常に内容が濃い研究をし、集中力が高まったような状態を経験しました。最近の言葉でいうと少し「フロー」状態にも似ているかもしれません。

この比較的簡単な実験で新たにカフェインがいかに人間の意識状態を活性化するかについて考えました。もともとコーヒーは15世紀からアフリカ大陸やアラブ地域で集中力を助ける飲み物として利用されたと伝われています。特にイエメンではイスラム神秘主義者のスーフィーの儀式で多く使われたとも言われています。今回の実験で私はカフェインの強い漢方的な要素を確認することができたと思います。

執筆者プロフィール

ロジャー・マクドナルド

東京都生まれ。幼少期からイギリスで教育を受ける。大学では国際政治学を専攻し、カンタベリー・ケント大学大学院にて神秘宗教学(禅やサイケデリック文化研究)を専攻、博士課程では近代美術史と神秘主義を学ぶ。帰国後、インディペンデント・キュレーターとして活動し、様々な展覧会を企画・開催。2000年から2013年まで国内外の美術大学にて非常勤講師もしている。2010年長野県佐久市に移住後、2014年に「フェンバーガーハウス」をオープン、館長を務める。