LIFESTYLE

Go with the 風呂〜 Vol.7/UFOふれあい館

写真・文/大智由実子

2021.08.13(Fri)

photo & text: Yumiko Ohchi
background artwork & movie edit: Fujimura Family
edit: Yu Kokubu

 いきなりですが、あなたはUFOを見たことがありますか?そう聞かれて「あるよ!」って元気よく答えるPOPEYE読者はおそらくそんなに多くはないんじゃないかな。だってここは『ムー』じゃないもん。でも、好奇心旺盛なシティボーイ・シティガールのみなさんはこの手の話、嫌いじゃないでしょ?ちなみに私は大好き。だって未知なる世界って夢とロマン以外なんもないじゃん。だからか知らないけど、その手の情報は自然と私のアンテナがキャッチするようになっている。

 福島県の飯野町は昔からUFOのような謎の発光体の目撃情報が多く、今から約30年ほど前に「UFOの里」として町おこしを始めたそうだ。そのUFOの里にある「UFOふれあい館」ではUFOに関する情報の展示の他、なんと展望風呂もあって、UFOとお風呂の両方が楽しめちゃうとの情報をキャッチした。「え、UFOとお風呂にいったい何の関係性が??」という至極真っ当な疑問を私の好奇心がグィッと押しのけて「そんなの行ってみて自分の身体で体感したら自ずと関係性が見えてくるかもよ?」って脳内でささやくもんだから、ホイホイと福島行きの準備を始めた。UFO、宇宙人、お風呂、と大好物が揃ったならば私の尻はどこまでも軽くなる。軽すぎて半分浮いてるかもしれない。我ながらとんでもない尻軽女だ。

 そんなわけで、やってきました福島県福島市は飯野町。福島駅からバスで山道をゆられること30分ほど。「UFOの里」なんていう胸躍る名前のバス停で降りたら、向かいにある帰り方面のバス停には、今や廃墟のようになっているUFO型の待合所が見えた。その廃れ具合がいかにも「ウン十年前に宇宙人が乗り捨てていったUFOです」って感じでジワるな〜。

 お目当てのUFOふれあい館は、UFO目撃情報の多い千貫森という山がある千貫森公園の中にある。この千貫森という山はきれいな円錐形をしていて、UFOの基地なのではないかとか、古代ピラミッドだとか、方位磁針が狂うところがあるとか、とにもかくにもミステリアスな山なのだ。むーん、これは何かが起こりそうな予感!

 道案内をしてくれる親切な宇宙人に導かれ、バス停からUFOふれあい館までの登り坂をゼェハァ言いながらようやく到着。向かいにはパノラマ食堂のあるUFO物産館もあるぞ。「UFO飛魚らーめん」なんて書かれたのぼりも見えた。よし、それは風呂上がりのお楽しみにとっておこう。

 わくわくしながら宇宙基地みたいな八角形をしたUFOふれあい館の中に入り、おびただしい数の『ムー』のバックナンバーが並ぶ受付で利用料を支払うと、UFOに関する書籍の中にどさくさに紛れて焼きそばU.F.Oのグッズなんかも並ぶライブラリーがある。そこから順路に従うといきなりトイレが。その先には「ミステリーゾーン」と書かれた怪しいイルミネーションでデコられた入口…。「あ、これは展示内容があまりにもショッキング過ぎてチビっちゃわないように、というお気遣いだな」と察した私は「かたじけない」とトイレで用を足してからミステリーゾーンへと突入した。

 展示はUFOや宇宙人に関する赤裸々な情報が気前よくあけっぴろげになっていて、中には「CIA秘密文書」なんていうトップシークレットが堂々と展示されていたり…飯野町だけに「え、いいの!?」とくだらないダジャレを言ってしまいそうになる。

 宇宙人エリアには、マッシュルームカットをした小さな宇宙人(正太郎という名前らしい)や恐ろしい巨大な宇宙人の等身大フィギュアが並んでいて宇宙人たちと記念撮影もできる。

大らかな心を持った施設だ。透明性ってこういうことだよね。
日本初のUFO研究団体「日本空飛ぶ円盤研究会」の会員には、かの三島由紀夫も名を連ねていた。
地味に不気味な宇宙人ゾーン

 微妙に飛び出す立体映像シアターで千貫森の謎についてお勉強をしてから、いざ千貫森へ!山頂にはUFOコンタクトデッキがあるので、そこからUFOを見つけようっていう魂胆だ。ふれあい館のすぐ横に「UFO道入口」と書かれた看板があった。もちろん遊歩道とかけたダジャレなわけだけど、そのセンス嫌いじゃないよ。

 標高462.5mの千貫森の山頂まではパンフレットによると往復40分、まぁ片道20分くらいだからたいしたことないだろうと正直ナメてた。割とマジな話、運動不足のシティガールにとってはシャレにならないハードな山道だった。蜘蛛の巣や、わざと顔の周りを飛び回ってイラつかせる性格悪い虫たちから身を守るために木の枝を振り回しながら必死に山頂を目指した。UFO道の道すがらにはさまざまな宇宙人たちの石像があって、山頂まであと何メートルなのかお知らせしてくれる。ちなみに山頂には飯野町のPRキャラクターでもあるU-タン(ユータン)の石像がある。何を隠そう私はU-タンの大ファンだ。公式プロフィールによると、飯野町出身の宇宙人U-タンの食べ物はキウイ、リンゴ、リンゴジュース、そして酒。しかも酒は地酒「千貫森」一択という郷土愛。U-タン、かわいい顔して結構いける口なんだね。そんなU-タンに会いたけりゃ必死こいて山頂まで行かねばならない。

UFOコンタクトデッキとU-タンの石像。こんときはギリ晴れてた。

 枝を振り回し、ゼェハァ言いながら汗だくになってなんとか登頂。かわいいU-タンにも会えて、コンタクトデッキに登って空を仰いだ。UFOらしきものは何も見えなかった。昼間だから発光体もきっと見えないのだろう、と諦めがちにとりあえず写真を一枚だけ撮ってそそくさと下山することに。というのも、その日は台風が接近していて、午前中は晴れていたけど福島市には大雨警報と雷注意報が発令されていたので、早く下山しないとどえらい目にあってしまう。実際、下山途中にあとちょっとでふれあい館に戻れる、というところで大雨にあたった。汗と雨水とでズブ濡れになったけど、別にいいもんね。だってふれあい館にはお風呂があるもんね。ここにきてUFOとお風呂の関係性というか、なぜUFOふれあい館にお風呂が?という謎がとけた。

 入口で靴の泥を取り、2階にある展望風呂へ。普通に綺麗だし、何よりめちゃくちゃ眺望がいい。ゆったりリラックスして湯船につかりながら外の景色をボケーッと眺めていたらUFOが見えた、なんてこともあるのでは、と目をギラつかせ空を監視しながらしばらくお湯につかっていた。ここのお風呂は特に温泉でもなんでもない普通のお風呂なんだけど、不思議と身体がよく温まり、腰痛や肩こりに効くとの評判で市内外から訪れる人も多いのだとか。確かにお湯がなめらかで優しく、身体が芯から温まる感じがする。というのも、千貫森周辺は磁場が非常に強く、地下の強力な磁場が岩石に影響を及ぼし遠赤外線効果を発生させているからではないか、との説がある。

 科学的に証明はされていないかもしれないけど、少なくとも私の体感では山登りの疲労が癒されたし、何より気持ちよかった。UFOは見れなかったけど、見晴らしも良くて最高。

 今年2月の地震で被害を受けて今は使用できなくなってしまっているが、お風呂を上がってすぐのところに「宇宙」「銀河」と名付けられた和室の休憩所があって、通常であればお風呂上がりにそこで景色を楽しみながらダラダラできるそうだ。

 さてさて、お風呂に入ってサッパリしたら、向かいにある物産館でラーメンだ。ここの名物飛魚ラーメンを千貫森原産のパワーストーン「ピンカラ石」で作られたどんぶりで頂くことに。お腹が空いて飢餓状態だったので、さらに名物ライスコロッケ「んだんだボール」と「ほだほだボール」も追加。ほどなくして出てきたボールたちは醤油味とカレー味で具もたっぷりで美味。そして、食堂のお母さんがヨロヨロ運んできてくれたラーメンに驚愕!いや、なにがすごいって、ピンカラ石のどんぶりがすごいのよ。どんぶりっていうか、石をくりぬいてその中にラーメンが入っているという、石器時代のラーメンみたい。見た目のインパクトもすごいが、お味の方もめちゃんこ美味しい。なにげにここのラーメンは地元でも評判が高くて、お昼時になるとわざわざラーメンだけ食べに来るお客さんも多いのだとか。

これがピンカラ石ラーメン。普通のどんぶりでの提供もあるのでご安心を。

 基本的にセルフサービスの食堂なので、食べ終わってピンカラ石のどんぶりを返却口に返そうと持ち上げようとしたら…いや待て、死ぬほど重いぞ。片手では持てないので両手でふんばって持ち上げようとしたら慌てて食堂のお母さんが「それはこちらで片付けますのでそのまま置いといてください!」と制止した。きっとあのお母さんはこのどんぶりを運ぶために過酷なトレーニングを積んでいるに違いない。非力な私は「すみません、ありがとうございます!とっても美味しかったです!」と告げて、物産館でU-タングッズを爆買いして帰りのバスへと向かった。

 家に帰って「いや〜。UFOは見れなかったけど、UFOふれあい館めっちゃ楽しかったな〜」と旅の思い出に浸りつつ、原稿を書きながら載せる写真の選定をしようとカメラロールを見ていたら………え、まって、ウソでしょ…。

 千貫森山頂のコンタクトデッキから投げやりに一枚だけ撮った空の写真の右下の方、よく見たらなんか写ってるじゃん…。なにこれ?鳥にしちゃデカいぞ。一見ヘリコプターのようにも見えるけど、前にも書いたようにその日は大雨警報と雷注意報が出ていたし、この写真を撮った10分後くらいには雷雨がきたから、そんな悪天候下でヘリ飛ばす人なんていないだろ。えっとぉ……ってことは、やっぱり、これって…ゴクリ。

!!!!????

※浴室及び館内撮影は許可を得ております。

インフォメーション

UFOふれあい館

福島県福島市飯野町青木字小手神森1-299
TEL: 024-562-2002
休館日:毎週月曜日(祝日の場合はその翌日)

http://ufonosato.com/

執筆者プロフィール

大智由実子

2012年よりMARGINAL PRESS名義で洋書のディストリビューションを行ってきたが2017年に活動休止し、世界中の様々なサウナを旅する。サウナライターとして花椿webにて『世界サウナ紀行』を執筆する他、サウナ施設の広報も務めるなど、サウナまみれの日々を送る。のちにサウナのみならず銭湯や温泉などお風呂カルチャー全般に視点が広がり、個性強めなお風呂を探究して現在に至る。お風呂以外の趣味は昭和の純喫茶とおんぼろ大衆食堂を巡ること。

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