カルチャー

私的にいいとこ、詩的なところ。Vol.32/銀座8丁目

2026年10月28日

photo: Keisuke Fukamizu
text: Ryusuke Kurokawa
edit: Toromatsu

休日と平日で別様
血色が変わる行き交うものが替わる昼夜
鈴虫のいなくなった硬い路地をヒールが鳴らす平日
歩行者天国をサックスが鳴らす休日
ギャラリーではなく画廊
パブでもなく倶楽部
一区画見回し散策するだけで話は尽きない
暮れ方には蝶たちがはためき
揚力を睫毛に預け
鱗粉薫る同伴に夜を見上げる

至る所の窓は丸く目を丸くするピアノからは
愛のテーマ
ソニーが撃たれる前にフレドは浮いた
流れる血を辿れど
蝶は夜に鳴くための口を持っていない
水揚げをするための港は見当たらないが
漁に出ていく残像が目の端からこぼれる
出世街道を歩く必要がある人間はもう
そもそもこの辺りにいない

一度は銀座へ
二度がない身の上ならば

インフォメーション

銀座8丁目付近

花椿通りを歩いていると、『第2一越ビル』や『ニューコンパルビル』の角が丸い窓に暫し足が止まる。そこから並木通りを曲がり歩くと人一人すれ違うのも困難な細道、『出世街道』たる観光スポットも。

〇東京都中央区銀座8丁目