TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム
【#3】小さな不在
執筆:マテウシュ・ウルバノヴィチ
2026年1月25日
突き詰めていくと、僕がこれまでのキャリアで生み出してきた作品のほとんどは、「周囲の世界を心から興味深く感じる」という単純な事実から生まれています。ロケハンに出かけると、頭の中は渦巻くイメージでいっぱいになり、どれも紙に描き留められるのを待っています。あの家はなんてチャーミングなんだろう、この木の曲がりくねって伸びやかな様子といったら! 次の絵でそれを表現できるだろうか……
しかし、そこにあったものよりも、見つけられなかったものに創造力を掻き立てられた特別な場所もいくつかあります。特に、初めて横浜に行った時がそうでした。
ここでも、スタジオジブリに一因があると思います。1960年代の横浜を舞台にした映画『コクリコ坂から』を観終わった瞬間、絵のように美しいこの港町を自分の目で見て探検しなければと強く思いました。さらに調べてみると、昭和初期の素晴らしい写真やもっと古いポストカードも見つかり、旅への意欲はますます高まるばかり。そして、その足ですぐに電車に乗りました。期待が膨らんで仕方なかったのです。
そこで見た横浜は、想像していたものとは全く違っていました。僕が期待したものの断片や痕跡が残っているだけ。イラストに直結する風景には、今回は出会えないようです。しかし不思議なことに、この不在こそが、インスピレーションを与えてくれたのでした。ロケハンを出発点として、僕が想像する横浜、いわば「僕の横浜」を描こうと思い立ち、「Cold in Yokohama」シリーズが誕生したのです。
絵のように美しい港や、はしけやタグボートが行き交う生き生きとした運河。しかし目にしたのは、騒音のする高架高速道路の下にある、寂しげな場所でした。
黄色い路面電車に乗りたかったのですが、かつての線路の痕跡がわずかに残るだけ。あの古いポストカードで見た有名な長い階段も、地震によりかなり昔に破壊されていました。
映画の中でもお気に入りのシーンに出てくる花屋は、今もそこにあります。しかし、それは昭和レトロな雰囲気を残す数少ない建物として建っているばかりです。
こうした小さな不在の一つ一つが、「僕の想像の中にしかない街を犬のキャラクターが探検する」という、新しいイラストを描くきっかけとなってくれたのです。
このシリーズ(ちなみに、このシリーズには僕がこれまでに描いた中でも特に気に入っている作品がいくつか含まれています)を描いて以来、僕は一人で、あるいは妻のカナと二人で横浜に通い続け、訪れるたびに街の素晴らしさ、特に港町や元町、そしてその向こうの丘陵地帯をますます好きになりました。スタジオを横浜に移すことさえ考えたほどです。それでも、心の奥底には、もうどこにも見られないあの街への懐かしさが残っています。
プロフィール
マテウシュ・ウルバノヴィチ
ポーランド出身のイラストレーター。アニメ制作会社〈コミックス・ウェーブ・フィルム〉入社後、アニメ映画『君の名は。』など数々の作品で背景美術を手がける。2017年に独立し、『東京店構え』、『東京夜行』などの作品集を刊行してロングセラーになる。
Instagram
https://www.instagram.com/mateusz_urbanowicz/
Official Website
https://mateuszurbanowicz.com/
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