カルチャー
ラリー・クラークさん、スケボーの魅力って何ですか?
写真展「Skaters」が伊勢丹新宿店で開催中。
2025年12月28日
text: Keisuke Kagiwada
現在、ラリー・クラークの写真展「Skaters」が、伊勢丹新宿店本館2階のイセタン ザ・スペースで開催中だ。本展は1990年代初頭に撮影された大型写真26点と、スナップ写真にラリー・クラーク本人がペイントを施した小型写真32点で構成。さらにラリーの直筆による本展タイトルがプリントされたTシャツの限定販売と、ZINEの先行販売もされている。
展示作品の多くは90年代に現像、額装されたヴィンテージプリント。よく見ると額には30年の間に付いた細かな傷や擦れが見られる。
被写体となるのは、タイトルの通りスケーターたち。ラリーは地元オクラホマ州タルサに暮らすティーンたちを撮影した写真集『タルサ』でセンセーションを巻き起こしたあと、NYのワシントン・スクエア・パークやブルックリン・バンクスでスケーター文化に出会う。そして彼らと交流を深めるうち、自身も50歳にしてスケートボードを始めてしまったという。自らその文化の中に溶け込むことで撮られたスケーターたちのスナップは、撮影者の年齢を感じさせぬほど若々しい。そこでの経験はやがて、ラリーが監督した映画『キッズ』へと結実していくことになる。実際、今回展示される作品には、『キッズ』でキャスティングされたスケーターたちの姿も見ることができる。というわけで、ラリー・クラークに、短い短いインタビューを試みた!
ーー今回展示される写真には、1990年代のスケートボードカルチャーが生々しく刻まれています。その姿に触発され、50代にして自身もスケボーを始めたそうですが、スケートボードの何がそこまであなたを魅了したのでしょうか。
ラリー:視覚的にとても刺激的だったからだな。知っての通り、ティーンエイジャーにとって、他には何も似たものがなかったんだ。あえて言えば、彼らにとってパンクロックのようなものだった。あの頃は本当に楽しかった。俺は坂道をスケートボードで下るのが好きだったんだ。本当に急な坂を下って、できるだけ速く駆け下るのが……。板の上に乗っているのが、単純に楽しかったよ。
ーーなるほど、パンクですか。
ラリー:カウンターカルチャーみたいなもんだってことだよ。奴らは怒れる子供たちだったんだ。人生を楽しむことが好きで、人とは違う何かを求めていた。奴らは周りと同じであることを望まなかった。
ーー今回展示されている作品の中のスケーターたちは、まるで友達に撮られたかのようにリラックスしています。彼らの自然な姿を捉えるための秘訣は?
ラリー:俺自身がその文化の一部だったから、自然にそうなったんだと思う。作品を作るためには、そうする必要があったんだ。アーティストとしての人生を通じて、俺はずっと作品を作り続けてきた。それがすべてだった。俺はまだまだ働いている。疲れているわけじゃない。今は少し休憩中だが、近い将来にまた再開するつもりだよ。俺は常に働いていて、ストップすることはない。途絶えることのないエネルギーがあるんだ。そのエネルギーはユース……つまり、撮影する対象からも得られる。だから、いつも楽しいし、常にワクワクしているよ。
ーー今、ご自身の口から発せられたように、あなたは写真だけに留まらず、映画においても”ユース”が重要になっています。なぜなんですか?
ラリー: 俺がいつも若者についての作品を作っているのは、それが俺にとって自然なことだったからだ。若い奴らを見ていると、インスピレーションが得られるんだ。
ーーでは最後に、ポパイの読者であるユースにメッセージを。
ラリー:Keep Working(やり続けて)、Get knowledge of the world(その世界についての知識を身につけて)、Make it work(なんとかうまくいくようにしろ)。
インフォメーション
Larry Clark 「Skaters」
会期:~2026年1月7日(水)
場所:伊勢丹新宿店本館2階 イセタン ザ・スペース
時間:午前10時〜午後8時
1995年公開の映画『キッズ』発表から30周年を迎えるにあたり、ラリー・クラークが切り取ってきたユースカルチャーに改めて光を当てる写真展。1990年代初頭に撮影、プリント、額装されたNYのスケーターの写真や、スナップ写真にペイントを施した1点ものの作品など、計58点が展示される。もちろん全て購入も可能。
プロフィール
ラリー・クラーク
1943年、アメリカ・オクラホマ州生まれ。映画監督、写真家、作家、映画プロデューサー。物議を醸した写真集『タルサ』(1971年)とティーン映画『キッズ』(1995年)で最もよく知られており、彼の作品は主に、社会が存在しないふりをしたがる行動に没頭する若者やサブカルチャーに焦点を当てている。
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