TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム
【#2】師弟ボーイ
執筆:桂九ノ一
2025年12月19日
母親があいみょんの追っかけをしてます。
魅力を尋ねると
「自分の息子と同世代の子が頑張ってると思うと元気が出る」との事。
僕も頑張ってるよ、母さん。
どうも落語家の桂九ノ一です。
高校時代、大阪の片田舎で育ち、
穴が開くほどにPOPEYEを読み、
空いた穴を覗きこんで東京の街シティボーイとやらにシンの底から憧れたものの、
志半ばでシティボーイから師弟ボーイへと方向転換。
ナウでクールなカルチャーに憧れながら落語の世界へ飛び込み、周りを取り巻く環境は大きく変化しました。
ラルフローレンのジャケットが黒紋付きに、
アシッドジャズが義太夫節に、
シルクのスカーフが豆絞りの手ぬぐいといった具合に、
今では西へ行っても東へ行っても、昔誰かが作った話を我が物顔で喋る日々です。
十代の頃から趣味でアナログレコードを集めていた事もあり、数年前からDJとしても活動させていただいてます。
人の作ったものを我が物顔でプレイする事に定評のある僕はありがたい事に今年はたくさんのフェスにDJとして呼んでもらいました。
フジロック、森道市場、朝霧jam、坂の上音楽祭等々……
COOLで小粋な方が多い中、大阪弁を叫びながら汗だくでボンジョビを流す僕は使い勝手が良いのか悪いのか、繊細な料理ばかり食べていると時にはドンタコスを食べたくなるような具合に、大衆に迎合し尽くしたセットリストを恥ずかしがりながらプレイしております。
ある時、僕のプレイを世界的なDJの方が見ておられて、終わってからアドバイスを頂きました。
「盛り上げ方は素晴らしい。でもね、あなたは引き出しが少なすぎる」
言われてから気がつくもので、45分間でマライアキャリーの恋人たちのクリスマスを4回流してました。9月の末の出来事です。
大反省ののち、新たな引き出しを求めて、ジョンレノンのハッピークリスマスを注文しました。
メリークリスマス。
プロフィール
桂九ノ一
かつら・くのいち|2016年桂九雀に入門。NHK新人落語大賞に2年連続決勝進出。アナログDJとしても活動しておりFUJIROCK FESTIVAL’25に出演。東京大阪の二拠点生活中。