TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#3】SRIRAJAH ROCKERS— ヤンガオの由来

執筆:MOOLA(YANGGAO)

2025年7月24日

こんにちは。名古屋でタイカレー食堂「ヤンガオ」を夫婦で営んでいるMOOLA(ムラ)です。

「ヤンガオ」という店名について、よく聞かれることがあります。
実はこの名前、タイのレゲエバンド SRIRAJAH ROCKERS にルーツがあります。

出会いはバンコクのナイトマーケット

2011年頃、バンコクに住み始めたばかりの頃の話です。
当時は古いタイのレコードや古着を探しに、観光客のいないローカルマーケットを一人で巡っていました。

そんなある夜、ナイトマーケットのどこからか聴こえてきた音楽に足が止まりました。レゲエのリズムにタイ語の歌声、心を掴まれ、結局その夜はレコードも古着も探さず、最後までライブを楽しみました。

そのバンドこそ、SRIRAJAH ROCKERS(スィラジャ・ロッカーズ)。
「シーラチャ(SRIRACHA)」というタイ東部の地名と、「JAH(レゲエの神の名)」を掛け合わせた造語です。

SRIRAJAH ROCKERS – Hi Speed Love

初めてこの曲を聴いた瞬間の記憶は、今でも鮮明に残っています。

物販がなかったので、終演後に直接メンバーに話しかけて、CDを手売りしてもらったことも忘れられません。

“ヤンガオ”という名前の由来

彼らの曲に “คือเก่า(クーガオ)”という曲があり、英訳すると「Still Tuff=相変わらずタフ」。この言葉が気に入り、店名にどうかと考えていたところ…

「◯◯◯戦隊クーガオ!」みたいでちょっと日本人にはヒーローっぽい響きじゃない?とタイ人の友人に相談したところ、代わりに紹介してくれたのが、

“หยั่งเก่า(ヤンガオ)”
チェンマイの学生の間で流行った言葉で、意味は“相変わらず”や“いつも通り”。“คือเก่า”と似たニュアンスで、語感もやさしく、日本語の耳にも馴染む。

こうして店名は「ヤンガオ」に決まりました。

だから「ヤンガオ」という店名の奥には、SRIRAJAH ROCKERSとの出会いが深く関わっています。

SRIRAJAH ROCKERS – คือเก่า (Still Tuff)

いつかこの曲の“ヤンガオ・バージョン”を作ってもらい、7インチレコードをヤンガオから出すのがひそかな夢です。

その後の繋がり

2019年にはヤンガオにSRIRAJAH ROCKERSのボーカルのウィンくんとコーラスのテンモーちゃんがヤンガオに来てくれました。

ヤンガオとSRIRAJAH ROCKERSで一緒にTシャツも作らせてもらいました。
THE CLASHのJoe Strummerが着てたいたあのTシャツをオマージュ。

ヤンガオの7周年記念パーティーにてSRIRAJAH ROCKERSのバンドでライブ。
バンコクの夜に聴いたあの音が、名古屋の自分たちの店にまで繋がっていくなんて、あの頃は想像もしていませんでした。

ライブ終わりに楽屋で撮影した一枚。

SRIRAJAH ROCKERSが好きな人におすすめの音楽

ISANJAH – มวลนำอ้าย [Roll Num I]

イサーン伝統音楽とレゲエの見事な融合。

SRIRAJAH SOUND SYSTEM – SI PHAN DON LOVERS ROCK feat. Molam Inteng Keawbuala

SRIRAJAH ROCKERSの別名義Srirajah Sound Systemの Molam Inteng Keawbualaをfeatしたキラーなラバーズロック仕立てのモーラム。

SRISAWAARD – LADYBIRD [รถเต่า]

バンコクに住み始めた頃に友達になったビーちゃんがベースを務めるバンド。温かく自由な音。最高。

The Paradise Bangkok Molam International Band – Boiler Room

ピンの名手カマオとケーン奏者サワイという70年代から活躍するスペシャリストを世界NO1のタイ・レコードコレクターである
MAFT SAIとFINDERS KEEPERSやSOUNDWAYのコンパイラーであるCHRIS MENISTがプロデュースするドリームチーム的な21世紀の進化系モーラムバンド。

タイは、日本よりもずっと身近に音楽を楽しめるチャンスが多い国だと思います。
旅行中の短い滞在でも、近所のバーやナイトマーケットで、もしかすると自分の好みにぴったりなバンドのライブに出会えることも、決して珍しくありません。

ぜひタイを訪れた際は、観光地だけでなく、自分の「好きな音」が鳴っている場所を探してみてください。
きっと、思いがけない出会いが待っているはずです。

プロフィール

MOOLA

むら|タイカレー食堂“YANGGAO”หยั่งเก่า 【読み: ヤンガオ/意味: いつも通り】のオーナー。タイ・バンコクに2010年から6年半在住した経験から、タイのフード/ミュージック/ファッション/カルチャーをローカルでインディペンデントな視点で解釈し、自らデザインしたお土産も手掛ける。レコード愛好家でDJとしても活動中。

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