はっはっは（笑）。だいぶ小さい頃から。僕はたぶん記憶ないです。

そうだと思います。母がTEIさんの曲を家でよく聴いてたんで、あ、よく会うあの人の曲なんだ、と。途中まではホント、なにも知らずに（笑）。

はっはっは（笑）。

YMC、「イエロー・マジック･チルドレン」のときですよね。（注：2019年に行われたYMO結成40周年記念イベント）

高校からですね。高校のとき、軽音部の部員にベースがいなくて、消極的にですけど、ベースになったということで。

ベーシストはみんなそんな感じ。細野さんもそう言ってた。「誰もいなかったから」って。

はっはっは（笑）。もったいないけど、それはそれでおもしろいかなって。

たぶん、僕ら2人でTEIさんと最初に会ったのは、“ハレマメ”だったと思うんですよ。（注：代官山のライブハウス『晴れたら空に豆まいて』）

金延幸子さんのライブがハレマメであったときです。

ちょうどその日が、僕らがデビューするという告知が出る日で。2023年の12月でした。

僕は1940年代のブギウギが好きなんです。で、細野さんがブギウギをやっているのをたまたまNHKで夜中に観て。あ、この人、すごい！　と。40年代の感じでやれる人って世界中をみてもあんまりいないなと思っていたのに、日本人でやれてるヤツがいるじゃないか！と。

ヤツ（笑）。

こいつはすげえヤツだと（笑）。

全然知らなかった。はっぴいえんどのことはなんとなく知ってたけれど、どんなメンバーがいるとか詳しいことを知らなかったし、YMOは聴いたことがなかったんです。とにかく、NHKで観たブギウギを演奏する細野さんに衝撃を受けて。こいつはすげえ！　と。ブギウギに関して、この人は僕よりもいろいろ知ってるだろうから、話を聞きに行きたいと。

はい。その頃、ブギウギについていろいろ調べていたんです。日本だと本もないし情報もないので、アメリカの国会図書館にメールして資料を取り寄せたり。日本にこんな人がいるんだったら、聞きに行くしかない！　と。それで細野さんの家を突然訪ねてしまいました（笑）。

僕は愛媛出身なんですが、東京にいる親戚がたまたま林立夫さん（注：ドラマー。70年代は細野晴臣らとバンド「ティン・パン・アレー」として活動）と知り合いで。そのツテで住所を入手しまして。でも、突然ピンポンしたら「ヘンな人が来た！」って警察を呼ばれるかもしれないじゃないですか。東京の大学に入学した直後だったので、細野さんの家に突撃する前、母に電話しました。「いまから行くんですけど、捕まるかもしれません。迷惑をかけることになります」

遺言のように（笑）。

で、行こうかどうしようか、細野さんちの近所で悩んでたら、タモリさんが歩いてたんです。サングラスしたオンの姿で。

生タモリさんを見たからにはピンポンするなら今日しかないと。

はっはっは（笑）。

で、細野さんに会って。いろいろ話をしていたら、「きみと背格好がよく似た孫がいるから。話が合うと思う」って紹介してくれたのが悠太くんでした。

2019年の春のことでした。

あ、もうそんなに経つんだ。

その日、細野さんはたまたま家にいたんです。ピンポン押したら、悠太くんのお母さんが出てきてくれて。たぶん、ファンの人が来ちゃったからお断りしなきゃということだったと思うんです。でも、僕があんまりちゃんとしゃべることができず、ブギウギの人の名前とか言葉とかだけをブツブツ言うんで、ふつうのファンの人とは違うなと。

めっちゃヤバいヤツが来た（笑）。

40年代のブギウギのソングライターでドン・レイという人がいるんですが、その人の名前をあげて「ぜひ、細野さんにいろいろ聞きたいんです」と。すると悠太くんのお母さんが、父がよく言ってる名前と一緒だから会わせてみたらおもしろいかも、と思ってくれたみたいで。

完全にそうです。バンド名の「シャッポ」も細野さんがつけてくれました。（注：シャッポは帽子の意味。「シャッポを脱ぐ」で脱帽するという意味になる）

もともと音楽が好きで、10歳からギターを弾き始めて。最初はロック少年で、エリック・クラプトンとかだったんですが、だんだん古いミュージカル映画ばっかり観るようになって。で、コール・ポーターやジョージ・ガーシュウィンといったティン・パン・アレーの人たちが手がけるミュージカル曲をどんどん掘るうちに、30年代のヒットチャートを聴くようになって。で、40年代になると俄然ヒットチャートがおもしろくなっていって、中でもブギウギがおもしろいなって。

僕はもう全然そういうのはわからなくて。音くんと知り合ってから、祖父が最近やってる音楽はこういうことなんだなとわかるようになっていったんです。とにかく、の音楽の歴史については全部音くんに教えてもらいましたから。

悠太くん、細野さんのことも全然知らなかったもんね。

はっはっは（笑）。

何も知らずに生きてきたんで。

でも僕も細野さんに会って、交流するようになってから、ああ、この人はやっぱりすごい人なんだとだんだんわかってきて。それを悠太くんに逐一伝えるようになりました。細野さんは昔、ユーミンのバックバンドをやってたんだよ、とか。

え、そうなの？　荒井由美時代のユーミンの？ って。

それすらも知らなかったんで。

行きましたね、すき焼き。

めっちゃおいしかった。

あはははは！

細野さんにも言われたんです。「ヘンだ。聴いたことのない音楽だよなあ」って。

もうそこまで（笑）。

まあ、３枚目でいいのをつくったらね（笑）。

還暦、おめでとうございます。

セミセミリタイヤ（笑）。

なんかいい響き（笑）。

健康的な生活を送られて。

そんなに！

いやいやいや。

TEIさんはリリーススパンが短いので、この世代にはあんまりそういう人っていませんよね。

そうだよね。

いますね。

地域ニュースに出てくるインスタやってるおばあちゃんとか。