TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#3】ポパイ育ちのゴルフライフ

執筆:光石研

2025年5月23日

 この歳になると、友人知人は減ることがあっても、増えることは無いと思ってた。それが、ドラマの共演がきっかけで急接近、仲良くしてくれるお友達が出来た。国民的スーパースター、同じ歳の木梨憲武さんだ。何故だか、ボクのことをおもしろがってくれて、ラジオや番組に呼んで下さる。ある時、木梨さんが「おじさんゴルフやんないの?」と聞いてきた。「まだ結婚前、35年くらい前はやってたけど、お金が続かなくて、やめたよ」「なんだよ、またやろうよ」「イヤイヤ、ん〜、まあそうだね」なんて曖昧に答えてた。

 なんとなくゴルフに思いを巡らす。「そっか、ゴルフか。今どんなクラブ、どんなウェアがあるんだろう?」ほらね、ポパイ的思考回路が発動し、まずはスタイルから入る。ロケ帰りのその足で、幹線道路のゴルフショップに寄ってみた。ボクは左ききだから、左用のクラブを探すも、ほんとに申し訳ない程度しか置いてない。それに、今のハイスペックなクラブとウェアは、ボクには似合わない。

 ポパイ育ちのボクは、当時買えなかった憧れのクラブを、ネットで探す事にした。すると、国内外のサイトで売ってるじゃない! やばいやばいとばかりに、いささか興奮して衝動買いが始まり、ものの数時間で一式を揃えてしまった。

 次はウェアだなぁ。ボクのイメージは、パンツがフレアーになり始める寸前な、六十年代〜七十年代のゴルファー。白ポロに紺のカーディガン、グレーのスラックスに白か黒の革靴ゴルフシューズ。スラックスとポロシャツは、日頃着用のモノで大丈夫。紺のカーディガンは、旅先の古着屋で調達出来た。シューズは海外サイトで見つけて購入。スタイルは決まった。

40年前、憧れてたクラブセット。

 勢い付いたボクは、いつものようにチーム名をつけたくなる。

「リバーサイドカントリークラブのファットショットボーイズ」

 次はグッズ作りだなぁ!と云うことで、キャップをデザインして作って、周りの友人に配った。

 そろそろお分かりだろう。ボクはまだ一度もクラブを振って無い。道具を眺め、イメージのウェアを着て、オリジナルキャップで御満悦(笑)。

 35年振りのゴルフは、木梨さんの番組だった。パーシモンのドライバーを皆さんにいじられたが、ボクは憧れのクラブで出来て最高だった。

 え? スコアいくつかって? イヤイヤ、わかってないね。ポパイ育ちはそこじゃないから。

アーノルドパーマー、はたまた、ジャックニクラウス。こんな感じ。
メインランドでも、こんなハット被ってる方は稀。

プロフィール

光石研

みついし・けん|1961 年生まれ、福岡県出身。高校在学中に曽根中生監督『博多っ子純情』(78) のオーディションを受け主演に抜擢される。
以降、映画・ドラマを中心に様々な役柄を演じる。

映画『フロントライン』6月13日公開
映画『でっちあげ』6月27日公開
映画『夏の砂の上』7月9日公開
テレビ東京『失踪人捜索班 消えた真実』毎週金曜日21:00〜放送中。

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