ライフスタイル
釣るだけが釣りの楽しみではない。 – FLY FISHING –
2021年6月12日

釣るだけが釣りの楽しみではない。
川の楽しみとして、釣りを忘れてはいけない。毛針で釣るフライフィッシングは、1600年代から英国貴族のスポーツとして嗜まれているクラシックで、今でもその魅力に取り憑かれる人は数知れず。これまで紳士の装いや振る舞いについての本を上梓してきたNYのライター、デイヴィッド・コギンスさんもそのひとりで、5月にフライフィッシングについての本『The Optimist』を発売したばかり。

「フライフィッシングの醍醐味というのは、意外と魚を釣り上げる瞬間じゃないところにあるんだ。朝イチで川に着いてウェーダーに足を通しながら、これからどんな魚が釣れるだろうかとワクワクする時間だったりね。いよいよ準備が終わって、川に釣り糸を垂らしたら、あとはただ穏やかに流れる時間に身を任せるのみ。長く続いた静寂の後、突然、魚がかかると一気にテンションが上がって、それが終わるとまた静かな世界に戻る。この緩急のついた時間の過ごし方は他で味わうことはできない。釣りというのはすなわち待つことなんだ」
1653年にイギリスで書かれた名著『釣魚大全』にも「穏やかなることを学べ」との一節がある。釣れないことにイラつくことなく、ただただ自然の中に身を置く時間を楽しむ。これこそ理想の夏の過ごし方ではなかろうか。
「この釣りは学ぶのに時間がかかるから、釣れるようになったらもちろん嬉しいよ。魚が食べそうな虫に似せたフライを巻き、川の流れを読んでキャスティングする。すごく慎重に動いて、ここだ! という瞬間に引き上げて魚が釣れた瞬間は、もう最高な気分だ。捕まえるのが最も難しいのはブラウントラウト。賢いからすぐ逃げられるんだ。本場イギリスでは最もジェントルマンな魚とされているから、リスペクトを示すためにドレスアップして釣りをするんだよ」
ただ魚を釣るのならエサ釣りのほうが楽だけど、あえて簡単な方法では釣らないフライフィッシングというスポーツに熱中してしまう気持ちがわかってきた気がする。最後にデイヴィッドさんはこんな言葉を僕らに残してくれた。
「基本はキャッチ・アンド・リリースだから、手元には何も残らない。勉強して苦労して釣っても、そこに意味があるとわかるのは自分だけだし、簡単そうに釣っていても実はそこにすごいテクニックがあったりする。雨で消えてしまうアートみたいなもので、詩的でもある。だから、また川に行きたくなるんだよ」
プロフィール
デイヴィッド・コギンス
1976年、ミネソタ州生まれ。NY在住の作家であり、編集者。本の発売を記念して自身がゲストエディターを務める〈L.L. Bean〉や、イギリスのメガネブランド〈Kirk Originals〉とコラボレーションアイテムを発売予定だ。(instagram: @davidrcoggins)
ピックアップ

PROMOTION
〈OTAKARA NYC〉の色彩豊かな手刺繍の「お宝」を『NEPENTHES』で手にしよう。
〈OTAKARA NYC〉
2025年5月17日

PROMOTION
見上愛さんと、春風吹く東京競馬場へ。
JRA
2025年5月16日

PROMOTION
〈adidas Originals〉とミュージシャンの肖像。#2
dodo
2025年5月9日

PROMOTION
〈メゾン マルジェラ〉の「スプリンターズ」で高まるスポーティークラシック。
Maison Margiela
2025年5月14日

PROMOTION
Tシャツがないと、僕の夏は始まらない。
無印良品
2025年5月12日

PROMOTION
初夏の準備を〈TATRAS〉と。
TATRAS
2025年5月13日

PROMOTION
「サウンドバーガー」と〈WIND AND SEA〉のコラボレーションで、’80sバイブスを持ち歩こう。
オーディオテクニカ
2025年5月8日

PROMOTION
東京の夏と、涼を呼ぶ服。
THE NORTH FACE
2025年4月23日

PROMOTION
雨の日は手ぶらで〈エーグル〉のレインコレクションを。
2025年5月7日

PROMOTION
〈MERRELL〉と〈SnowPeak〉による初のコラボシューズ「モアブ スピード 2 ゴアテックス® スノーピーク」。
2025年4月25日