ライフスタイル

柄×柄でも心地よさは忘れずに。模様替えで日々アップデート。

STOCKHOLM/僕の部屋とマイルール。

2025年2月25日

部屋作りのマイルール。


photo: Takeshi Matsumi
illustration: Erika Horiuchi
coordination & text: Shimpei Nakagawa
2025年3月 935号初出

Evelina Kroon Artist
エヴェリーナ・クローン|1987年、ストックホルム生まれ。格子柄を作風とするアーティスト。2024年には書籍『Mönster』(英語でPatternの意味)を執筆。夫のグスタフさんと、2匹の猫と暮らす。

エヴェリーナのリビングルームは様々なインテリアが格子や縞といった規則的なパターンでまとめられている。どれも個性的で主張が強いのに、不思議と全体が調和。ふと目をやると、階段までもがひとつの模様に溶け込んで見えてくる。パターンのリズムが空間全体をつなぎ、まるで一つの大きな作品の中にいるような気分だ。

AREA – ストックホルム・ハーグサートラ
Space – 1LDK 110㎡
Remarks – スウェーデン版のSUUMOと言える、住宅サイト「Hemnet」で発見。安くて広い物件を探していたところ、郊外の物件にたどり着く。

 ストックホルムに住むアーティスト、エヴェリーナ。彼女は格子や縞のパターンを作風とし、絵画だけでなく、ブランケットやクッションといったプロダクトも手掛けている。部屋には、様々な格子や縞の模様がセンスよく配置されていて、部屋ごとに2つ以上の異なるパターンが並んでいるのだが、しっくりまとまっているのが印象的。「好きだと思うもの同士は一緒に置いても、自然と調和します。たとえ少し違和感があっても、それを受け入れる覚悟が大事ですね」

 部屋作りのポリシーは〝動きのある空間〟。リビングルームが遊び場になったり、作業場が寝室になったり、ダイニングテーブルが秘密基地に変わったりーー用途を固定せず、自由な空間を作りたいと考えているそうだ。「模様替えはよくしますね。衝動やインスピレーションに逆らわず、必要なときに変化させる。それが作品作りにも良い影響を与えるんです」と語る彼女の部屋には、たくさんの創作のヒントが隠れている。

1. どこでも必ず一息つける工夫を。

小さくても、休憩できる場所を作るのがエヴェリーナの大事なルールの一つ。例えばリビングならソファベッドを置いて、床には大きなクッションも。階段下のラウンジチェアをはじめ、椅子は腰を落ち着けられる大きめのものばかり。リビングの隣の部屋にもデイベッドが置かれている。

2. キッチンや寝室なども色合わせの妙。

上/キッチンも、ディテールを見ていくとテーブルやまな板、ポットや調味料入れに至るまで、どれをとってもヴィヴィッドなカラーリングや特徴的な造形のものばかり。下/柄と柄をミックスするセンスが特に表れる寝室。ベッドカバーと枕カバーはすべて色味や柄が違うもので構成され、ランプやモビールもカラフル。壁紙も花柄とくる。

3. お気に入りのコレクションで至る所に遊び心をプラス。

収集したコレクションを飾る棚に並ぶのは、キッチュで柔和な印象のオブジェクトや人形が中心。壁にかかったオイルサーディンの缶を使った時計なんて最高にユーモラスだ。大好きなパターンものはそう多くない印象で、うまく余白を作っているから部屋全体のパターンとのバランスが取れていると見た。