ファッション

バイカーたちの軽やかな愛車と気負わない着こなし。

TOKYO/SNAP & SURVEY THE STYLE

2025年1月20日

STYLE SAMPLE ’25


photo: Jun Nakagawa
text: Shintaro Kawabe
2025年2月 934号初出

 シティボーイのカーライフは車特集で見てきたし、自転車のスタイルも何度かスナップしてきたけど、思えばバイクにはあまり触れてこなかった。モッズやロッカーズなど武骨なカルチャーの印象が強いけど、シティボーイならどんな服を着て、どんなスタイルでバイクを楽しむだろう? そんな疑問を払拭するべく、颯爽と都会を駆け抜ける6人のライダーをスナップ。すると気がついたのは、彼らの愛車はどこかスマートで、身のこなしにも窮屈なところがなく、みんな自然体で走っていること。バイクをあまり意識しすぎずに好きな服を自由に選んでいると、彼らは口を揃える。バイカーの新しいスタンダードは、そんなリラックスしたスタイルなのかもね。

早川 勝(25)Mechanic
Jacket – used (Mont-Bell)
Pants – Ssz
Shoes – Gravis × Ssz
Beanie – Noroll
Motorcycle – Yamaha

よくエントリーするというオフロードの大会で勝つためにマフラーもレース仕様なアメリカの〈FMF〉のものを採用。

〈ヤマハ〉がサーキットで勝つため、技術を惜しみなく投入したスポーツバイク「YZF-R1」。そのオフロード用として開発されたのが、早川さんが乗る「WR250R」。市販車ではそう見かけない軽いアルミフレームで加速力は抜群。それゆえ服に防風性を求めるから、風を遮断できるほど厚地なアノラックがユニフォーム。

兼本駿音(21)Mechanic
Outer – Stüssy
Pants – used (Dickies)
Shoes – Clarks
Beanie – Labros 
Motorcycle – Harley Davidson

古い〈ハーレーダビッドソン〉の象徴の一つでもあるキック式のエンジンは、購入時に付いてなかったため自身で装備。

〈ハーレーダビッドソン〉の’89年式のモデル「エボリューションソフテイル」を’60年代のチョッパースタイルに近づけるため、フロントフォークを長くしたり下に垂れ下がったエイプハンドルを取り付けたりと改造中。往年のバイクカルチャー好きだけど、服はパイソン柄のフーディーにペインターパンツとデイリーウェアで固める。

平井佑人(28)Actor
Outer – used
Jacket – Quarter Snacks
Pants – Champion
Shoes – Puma
Motorcycle – Yamaha

デルタ〉のマフラーは、大好きな『仮面ライダークウガ』に登場するバイクと音が似ているから取り付けた

〈ヤマハ〉の「WR250R」に新調して2日目という平井さん。購入を決意したのは、大好きな映画『ブレイス・ビヨンド・ザ・パインズ』で主演のライアン・ゴズリングが乗るバイクに似ていたから。着る服も模索中だけど、角度が急なシートに座っても生地が突っ張りにくいオーバーサイズのスウェットパンツが今のベストなボトムス。

蛭田 悟(32) 『Kiraku』Staff
Jacket – used (St. John’s Bay)
Sweatshirt – used (Russell Athletic)
Pants – used (Polo Ralph Lauren)
Shoes – Vans
Motorcycle – Honda

ボロボロだったシートはスポンジを補充して、レザーも自分で張り替えた。それ以外のパーツは基本純正品。

〈ホンダ〉の’78年製「XL250 S」は、巨大な23インチのフロントタイヤを採用したことで悪路での走破性を高めた名車で、当時の林道ブームの火付け役でもある。バイクに乗るときは、古着を着たくなるという。味のある赤いボディに合わせて、クタクタになった服で街を流すのがマイルール。

松下大寛(22) 『bal flagship store』Staff
Coat – used (Timberland)
Knit – Bal
Pants – used (Polo Ralph Lauren)
Shoes – Blohm
Motorcycle – Tomos

お気に入りのパーツは自転車屋さん『PATH BACKYARD』で付けたチャリ用のラック。

『スパイダーマン2』に一瞬登場するピザ配達員が乗っていたモペットに一目惚れして購入したのが、スロベニアの自動車メーカー〈トモス〉のバイク。ペダルを漕いでも進むから、ちょっと速い自転車を流している気分で狭い道も軽やか。ショート丈のコートの襟元にマフラーをレイヤードさせた風を凌げるようなスタイルがお決まり。

難波將汰(28) Paint Artist
Jacket – used (Eddie Bauer)
Knit – used (Coogi)
Pants – Bobson
Shoes – Comme des Garçons × Supreme
Motorcycle – Kawasaki

お気に入りのパーツはタンク。ヴィンテージらしさが少しでも出るように、あえてムラがあるようなペイントをした。

’60年代イギリスのロッカーズが公道でのレース用に改造したバイク「カフェレーサー」。そのスタイルを象徴する前傾姿勢を〈カワサキ〉のオフロード車「250TR」で再現するため、背の低いセパレートハンドルを採用。足元は必ずブーツ! 事故に遭った際、靴のおかげで怪我が最小限で済んだという。