TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#3】コロンビアと日本の価値観の違い?

執筆:西村宏堂 & フアン・パブロ・レジェス・ディアス

2024年12月26日

西村宏堂:こんにちは、POPEYEをご覧の皆様!こちらのコラムではコロンビア出身のフアン・パブロとの会話を掲載させていただいております。私たちは2023年にコロンビアで同性結婚をしました。

フアン・パブロ:こんにちは、私は以前、コロンビアの首都、ボゴタの出版社や広告代理店で働いたあと、スペインで宏堂と出会って2022年から東京で暮らしています。

宏堂:前回まではコロンビアと日本について思い描いていたイメージと実際どうだったかについて話し合ったけど、今回は価値観の違いについて話そうよ。

日本とコロンビアの価値観の違いについて

フアン:日本の人はすごく静かな人が多いと思うよ。羽田空港についてタクシーに乗った瞬間、静寂っていう感じで。コロンビアのタクシーは運転手さんが音楽をかけていることがほとんどだから。

宏堂:コロンビアのタクシーでかかっている音楽は運転手が「自分のタクシーへようこそ」っていうおもてなしの気持ちもあるって言ってたよね。

Video: Juan Pablo Reyes

フアン:そうだけど、結構うるさいよ。(汗) コロンビアでは政治がきちんとされてなかった時代に、国民が声をあげることが大事だとされていたんだ。だから自分の思ったことをはっきり伝えることは大事だとされているんだ。逆に日本は周りへの気遣いがとても行き届いていると思う。すごくマナーを守って静かな場所が多いよね。

宏堂:そうだね、日本は列を守ったり、静かにしたり、秩序が守られている場所がすごく多いと思うよ。逆に完璧を期待されるから働きすぎで疲れちゃっている人も多いのかなって思うよ。常に我慢や努力していないとダメみたいな風潮もあるかも。私は高校の時、先生に「夏休みは一日10時間勉強しなさい」って言われたことがトラウマで、今でも怠けている自分はダメだって思っちゃうことがあるもん。

真面目に勉強する人はダサい?

フアン:逆にコロンビアの高校では勉強している人が「真面目ちゃん」みたいな感じでダサいと思われるような感覚があったよ。勉強しないでパーティに行く人気者がかっこいいとされていて、自分が大学受験の時に勉強し始めたら、周りの子達が「何そんなに頑張っちゃってるの?」っていう冷たい態度になって寂しかった。

宏堂:日本では成績が良い人が評価されるし尊敬されるという価値観がほとんどな気がするな。

パルチャールって動詞はどういう意味?

フアン:コロンビアでは、休んだり旅行に行くのは気軽にできることだし、特別な目的もなく外出して友達と話すことを『parchar(パルチャール)』というんだ。この言葉は、仲間と過ごす時間を大切にするということでポジティブに捉えられているんだよ。

Video: Juan Pablo Reyes

宏堂:私は用もなく時間を過ごしたら、無駄な時間を過ごしたと思っちゃうかも。日本語だと「ぶらぶらする」って怠けているような響きになっちゃうもん。でも気楽にparcharすることって、頑張り屋さんの日本人には良い息抜きになるのかも。頑張る時は頑張って、休む時は思いっきり休んでいいんだっていう踏ん切りの良さが大事かもね。

フアン:最終回はコロンビア人と日本人の性格の違いについて話そうよ。お楽しみに〜!

プロフィール

西村宏堂

にしむら・こうどう|東京都生まれ。ニューヨークのパーソンズ美術大学を卒業後、ニューヨークを拠点にメイクアップアーティストとして活動。2015年に浄土宗の僧侶となる。LGBTQ活動家として、ハーバード大学、ニューヨーク国連人口基金本部などで講演。2021年には米TIME誌の選ぶ「次世代リーダー」に選出された。 

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フアン・パブロ・レジェス・ディアス

コロンビア・ボゴタ市出身。コロンビアの広告代理店と出版社で経験を積み、グラフィックデザイナー、フォトグラファーとして活動する。2020年にデジタルマガジンを立ち上げ、中南米の若者向けの文化や政治や薬物乱用などの課題について啓発発信を行う。2023年より日本在住。

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