カルチャー
秋晴れの心地よさを味わいながら訪れたい展示4選。
さーて、10月はどんな展示に行こうかな。
2024年10月8日
text: Ryoma Uchida
おしゃべり美術館 ひらビあーつま~れ10年記念展
@平塚市美術館
正直、美術館でよく知らない作品を見たとき、何を感じて、どうすればいいのかわからない! なんだかいつもキャプションにばかり目がいって、作品の”正解”を持ち帰ろうとしてしまう気がする。そこで、1980年代にアメリカで生み出された「対話型鑑賞」はそんな戸惑いを解消してくれるかもしれない。これは、グループで対話を重ねながら美術鑑賞をし、様々な発見や解釈を許容する鑑賞手法だ。平塚市美術館でも2015年に「対話による美術鑑賞事業」をスタートさせていて、その事業10周年を記念した本展では、対話型鑑賞とこれまでの活動を、所蔵作品約30点を中心に、対話のきっかけとなるような5つのテーマに分け紹介する。普段は静かにしていなきゃいけないイメージのある「美術館」だが、本展は「おしゃべりOK」。感じたことを思いっきり解き放ちに行こう!
インフォメーション
おしゃべり美術館 ひらビあーつま~れ10年記念展
会場:平塚市美術館
会期:2024年9月21日(土)~2025年2月16日(日)
休み:月曜日(ただし10月14日、11月4日、2025年1月13日は開館)、9月24日、10月15日、11月5日、2025年1月14日、年末年始(12月29日~1月3日)
時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)
料金:一般200円、高大生100円、中学生以下無料(詳細は公式サイトへ)
Official Website
https://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/art-muse/20162006_00042.html
写真植字の百年
@印刷博物館
文字文化を愛する全ての人はここへ集まれ! 現代は大デジタルフォント時代。ただ少し過去に遡ってみると、印刷文字は「活字」か「写真植字」が主流だった。中でも日本語においては、膨大な金属活字を用いる活版印刷に代わって、写真工学的な原理を使って印字する写真植字が登場したことは、印刷における「革命」で、活版印刷の煩雑さを解消し、多様な書体が印刷を彩るようになる画期的な出来事だったのだ。そんな写真植字の発明から100年を記念して開催される本展では、その歴史、役割、仕組み、さらには書体デザインについて紹介する。改めて、文字ってめちゃめちゃクールだなあ。そして『印刷博物館』だからこその展示の充実ぶりに驚嘆。博物館について気になった人はこちらの記事も参照のほど。
インフォメーション
写真植字の百年
会場:印刷博物館
会期:2024年9月21日(土) ~ 2025年1月13日(月・祝)
時間:10:00~18:00(入場は17:30まで)
休み:毎週月曜日(ただし10月14日、11月4日、2025年1月13日は開館)、9月24日(火)、10月15日(火)、11月5日(火)、12月28日(土)~1月5日(日)
料金:一般500円、学生300円、高校生200円(詳細は公式サイトへ)
Official Website
https://www.printing-museum.org/collection/exhibition/t20240921.php
みんぱく創設50周年記念特別展 「吟遊詩人の世界」
@国立民族学博物館 特別展示館
世界各地を広範に移動し、詩歌を歌い語る「吟遊詩人」。彼らは伝承の語り部であり、戦場で兵士を鼓舞する楽師であり、権力者を揶揄する批評家であり、ニュースを伝えるメディアであり、芸人であり……。ときには畏怖の対象とされ、ときに社会の隅に追いやられながら、歌と語りの独自の世界を築いてきたのだ。本展では、アジアやアフリカなど、各地に存在する彼らの文化と、それらを育んできた地域の人びとの息吹を紹介。資料点数約480点によって”無形”の文化の奥深さが博物館のなかでカタチをもって現れる。特別展示館1階中央アリーナでのパフォーマンスもお見逃しなく! 本館の充実の「地域・通文化展示」も併せて鑑賞したい。
インフォメーション
みんぱく創設50周年記念特別展 「吟遊詩人の世界」
会場:国立民族学博物館 特別展示館
会期:2024年9月19日(木)〜 12月10日(火)
時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
休み:水曜日(祝日の場合は直後の平日)
料金:一般880円、大学生450円、高校生以下無料(詳細は公式サイトへ)
Official Website
https://www.minpaku.ac.jp/ai1ec_event/51494
トニー・アウスラー「Transmission」
@SCAI PIRAMIDE
テクノロジーやメディアがいかに人々の心理に影響を及ぼしているか。ウェブメディアをやっている自分が言うのもなんだけど、たしかに現代的な問題を孕むテーマだ。本展でフィーチャーされているトニー・アウスラーは、そんなデジタルアイデンティティや既存の信念体系、不安や恐怖を引き起こす「不気味なもの(uncanny)」 などをテーマに作品を作り続けるアーティスト。人間の認知や身体とテクノロジーとの関わりを、時に不安を揺さぶり、時にユーモラスに表現し続けている。マイク・ケリーやデヴィッド・ボウイなど、さまざまなアーティストとコラボレーションをし、今や世界的に活躍する巨匠であり、このデジタル時代を生き抜く上で必修の作家である。本展では、初期における代表作から初公開となる最新作までの紹介を通して、そのキャリアを概観できる充実の個展となっている。
インフォメーション
トニー・アウスラー「Transmission」
会場:SCAI PIRAMIDE
会期:2024年10月4日(金)〜12月21日(土)
休み:日、月、火、水、祝日
時間:12:00〜18:00
料金:無料
Official Website
https://www.scaithebathhouse.com/ja/exhibitions/2024/10/tony_oursler_transmission/
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