フード

チキンじゃなくて、魚のライスで作るオムライス。

定番料理のニューディール。Vol.3

photo: Haruki Anami
illustration: Cari Vander Yacht
text: Ryota Mukai
2024年7月 927号初出

2024年6月10日

 本誌で始まった新連載「定番料理のニューディール」。みんなが好きなお決まりのメニューを再考し、カンタンに、そしてちょっとお洒落に作る方法を料理人の原川慎一郎さんが提案します。POPEYE Webではそのレシピをムービーでご紹介。第3回はオムライス!

白身魚の淡泊さとよく染みたソースの風味、シャキシャキした青菜のほろ苦さ、フェンネルシードの爽やかさなど、ひと口ごとに味わいが変化。ガーリック入りマヨネーズとの相性も抜群。「ぜひご飯と絡めながら食べてください」

– 材料(2人分)-

・小松菜 2株(80g)
・米 200g
・玉ねぎ ¼個(60g)
・鯛の切り身 100g
・卵 2個
・ダイストマト 大さじ6
・にんにく 1¼片
・塩 適量
・オリーブオイル 適量
・フェンネルシード 小さじ1
・白ワイン 大さじ2
・ケチャップ 大さじ4
・カレー粉 小さじ1
・パプリカパウダー 小さじ1
・水 適量
・マヨネーズ 大さじ2
・チリパウダー 適量

– 作り方 –

1. 米を炊く。炊飯器でOKですが、土鍋で炊くなら米と水の量は1:1。蓋をして中火にかけ、沸いたら全体を混ぜて超弱火で10分。火を止めて10分蒸す。

2. 鯛を大きめの賽の目状に切ります。魚の旨味がソースにも加わって、食感も残る程度のサイズをイメージしましょう。続いて、玉ねぎを粗くみじん切りに。これも食べ応えを感じられるくらい大きめにします。にんにく(1片)は通常のみじん切りでOKです。どれもきっちり丁寧にやらないでいいんです。食感のコントラストが美味しさにつながります。

3. 小松菜をざっくりとカット。塩もみして置いておきます。青菜であれば、好みのものでOKです。今回は古来種の雲仙こぶ高菜を使用。

4. トマトソースを作ります。オリーブオイル(大さじ2)を引いたフライパンを中火にかけ、玉ねぎ、にんにく、塩、フェンネルシードを炒める。玉ねぎが透き通ってきたら鯛を入れます。身の周りが白く色付いてきたら白ワイン(なければ同量の料理酒または水)を入れ、鯛によく吸わせましょう。最後は弱火にし、ダイストマト、ケチャップ、カレー粉、パプリカパウダーを加えて煮ます。トロッとしてきたら大さじ3ほどを別皿に。ここに水(大さじ6)を加えて、盛り付け用のソースも作っておきます。味見も忘れずに。

5. 4に、1で炊き上がったごはんを馴染ませて、3を入れて和えます。これでフィッシュライスの完成。6の前に、お皿に盛り付けておきましょう。

6. オムレツを作る。卵白をよく切って卵を混ぜて塩ひとつまみと水(大さじ1)を。オリーブオイル(大さじ2)を引いてしっかり温めたフライパンに卵液を入れ、菜箸でかき混ぜながら加熱。半熟になったらフライパンごと濡れた布巾の上へ。フライ返しで「丸く包む」のではなく「手前と奥を畳む」→「ひっくり返す」→「形を整える」という手順を意識しましょう。

7. 5に6をのせ、4の別皿のソースをかける。すりおろしたにんにく(¼片)を混ぜ合わせたマヨネーズ、チリパウダー、お好みでハーブを添えて。

– 今月の古来種 –

チキンじゃなくて、魚のライスで作るオムライス。

雲仙こぶ高菜

戦後、中国から持ち帰られた種が雲仙に根付き、今に至る。葉の根元部分に、飛び出たこぶができることから名付けられた。「調理するときは鶏をしめるような気分になります。強い生命力を感じる野菜なんです」

古来種野菜とは? 品種改良されず、日本各地の畑で長きにわたり受け継がれてきた種の野菜のこと。在来種ともいわれる。「野菜の民芸品のようなものです」

– 小さな流儀 –
ハーブは調理前に生けておく。

 今回添えたフェンネルも、よく使うパクチーも、原川さんはジャムなどのなんでもない空き瓶にさしておく。すると調理中に水を吸って生き生きとしてくるのだ。これで名脇役もいかんなく力を発揮するってわけ。

プロフィール

チキンじゃなくて、魚のライスで作るオムライス。

原川慎一郎
『BEARD』店主

はらかわ・しんいちろう|1978年、静岡県生まれ。長崎県雲仙市でレストラン『BEARD』を営む。北海道函館市のカフェ『cafe water』のオーナーでもある。

Instagram
https://www.instagram.com/beard_shin_harakawa/