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夜は鍋。

TAIWAN CITY GUIDE

2024年6月18日

photo: Bo-Lin
coordination: Mikiko Ishii
2019年4月 864号初出

 台湾に来ると、1時間おきくらいに何かをモグモグしている気がする。それでも夕暮れにはお腹がすいてくるのが台湾マジックだが、そんな日中の反動か、夜はゆっくり座ってご馳走を食べたい気分になる。そこで鍋。現地のシティボーイ調べによると、夏でも冬でも鍋が王道だそうだ。海外から帰ってきてまず食べたいものも鍋。腰を据えて食べられそうだし、うん、鍋にしよう!

 この『圍爐』は「白菜鍋」で名を馳せた超有名店。いろんな人がオススメしてくれた。日本でも白菜を入れた鍋は数あれど、こちらは発酵させた酸味のある白菜を千切りにしてどかっと入れる独特な鍋。炭火で加熱する煙突の付いた銅鍋も初めて見るし、優しい酸味の効いた味ももちろん初めてでテンションが上がる。さらに楽しいのは、全部で16種ある調味料と薬味を好きに調合して、それに付けて食べられるところ。よくわからない調味料を直感で混ぜるもよし、写真の熟練スタッフ、雅惠さんにパーフェクトなタレを作ってもらうもよし。ああ、鍋ってなんて楽しい食べ物なんだ!

『圍爐』 – 東區

中国東北地方出身のオーナーが提供する伝統的な鍋専門店。肝となる白菜の酢漬けは何も加えずただ自然発酵させた優しい酸味が特徴。鍋は豚バラや蟹などが入った状態でテーブルへ。団子類を追加するとなお美味。予算は大体1人550元くらい。

私が雅惠よ。困ったら声をかけてね。

インフォメーション

夜は鍋。

圍爐

旨いタレのコツは「ゴマと醤油はスプーン1杯、他はちょっとずつね」とのこと。

◯台北市大安區仁愛路四段345巷4弄36號 11:30~14:00・17:30~21:30 無休

2019年4月時点の情報です。最新の情報は公式サイトにてご確認ください。

 取材も終盤に差し掛かった頃、そういえば台湾に来たのに麻辣火鍋を食べていないなぁと考えながらタクシーに乗っていると、大行列を発見。看板には「麻辣火鍋」の文字。なんとこの店、2か月先まで予約はいっぱいで当日並ぶと3時間待ち。ディズニーランドかよ。

 人気の理由は鍋の味はもちろんだが、内装にある。御影石の床、タイル張りの壁、眩しいほどに明るい照明など、1980年代の台湾でよく見られた内装を忠実に再現している。オーナーの詹さんになぜかと聞けば「僕は今34歳で、子供の頃行ったレストランはシンプルでいいデザインだった。そういう店はもうないから、若者に古き良き台湾のデザインを知ってほしくて父の火鍋屋を継いだときにリニューアルしたんだ。ディレクションを台南のセレクトショップ『Paripari apt.』にお願いして、アーティストにも手伝ってもらったよ」。例えば椅子は’80年代デザインの復刻版、壁面のタイルは85ページに登場するアーティスト、HSIANの作品だった。これは完全にシティボーイのための火鍋屋だね。

『詹記麻辣火鍋 』 – 大安

これが台湾の1980年代スタイルだ!

火鍋といえばこの形。左は豚骨と昆布ベース、右は花椒、唐辛子、豆板醤ベースでスッキリと辛い。具材は自分の好みだけど、骨付きの鶏モモ、タロ芋肉団子はマストで! 鍋の大きさは3種類330元~。写真は大。

スタッフユニフォームは、49ページで紹介した〈シンドロ〉が手掛けている。内装にはHSIANの他、タトゥーアーティストや現代彫刻作家が参加している。

インフォメーション

夜は鍋。

詹記麻辣火鍋

◯台北市大安區和平東路三段60號 12:00~14:30・17:00~1:00 無休

2019年4月時点の情報です。最新の情報は公式サイトにてご確認ください。