カルチャー
5月はこんな映画を観ようかな。
5月病にならないために観るべき4作。
2023年5月1日
text: Keisuke Kagiwada
『アルマゲドン・タイム ある日々の肖像』
ジェームズ・グレイ(監)
1980年代のNY=ヒップホップ黎明期において、いずれも悪ガキの白人と黒人が仲良しになるなか、あることがきっかけで社会の厳しさ(というか、差別問題)を思い知る、とんでもなく素晴らしい青春譚。監督の自伝的映画なんだが、実体験をこんな映画にしちゃうなんてジョー・ストラマーの名言「パンクとはアティチュードだ」を地でいく監督だ。ちなみにタイトルはストラマー率いるクラッシュの曲名らしい。なるほど。5月12日より公開。
『少年と犬』
L・Q・ジョーンズ(監)
70年代に作られた、SFブラックコメディが劇場初公開。第4次世界大戦で大地が荒れ果て、遺伝子変異によって女性が産まれなくなった2024年の地球(来年!)における、ヴィック少年とテレパシーで会話できる犬のサヴァイブを描く。テレビ放送版『新世紀エヴァンゲリオン』最終話のタイトルであり、『セカチュー』にも霊感を与えたSF小説『世界の中心で愛を叫んだけもの』で知られるハーラン・エリスンの同名小説が原作。5月19日より公開。
『ソフト/クワイエット』
ベス・デ・アラウージョ(監)
ダイバーシティを重んじる現状に納得いかない差別的な白人女性6人が、「アーリア人団結をめざす娘たち」を結成。しかし、決起集会後、二次会のために立ち寄ったスーパーでアジア系の女性に会ったことをきっかけに、取り返しのつかない出来事が……という物語を全編ワンカットで描く。守るべきものがない人ほど凶悪になれるというのが、不気味だけどリアル。結局、人間が一番怖いと痛感させられるある種のホラーだ。5月19日より公開。
『TAR/ター』
トッド・フィールド(監)
ミステリアスなタイトルは、主人公のリディア・ターが由来。指揮者としては天才的だが、人間的に難ありなターが、ライフワークに着手する傍ら、さまざまな今っぽい問題に巻き込まれていく。ターを演じたのは、ケイト・ブランシェット。ヴェネチア国際映画祭をはじめ数々の女優賞を受賞しまくった彼女の圧倒的な芝居から、目が離せない159分。5月12日より公開。
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