カルチャー

1月はこんな本を読もうかな。

今年どう生きるか考えるのにうってつけの4冊。

2023年1月5日

text: Keisuke Kagiwada

『奇妙なものとぞっとするもの──小説·映画·音楽、文化論集』
マーク・フィッシャー(著) 五井健太郎(訳)

批評家の故マーク・フィッシャーによる生前最後の著作がとうとう邦訳された。H・P・ラヴクラフト、ザ・フォール、デヴィッド・リンチ、あるいはクリストファー・ノーラン、ブライアン・イーノ、ジョーン・リンジーなどなどの分析を通して浮かび上がるのは、「奇妙なもの」と「ぞっとするもの」というこれまで過小評価されてきた感覚の重要性だ。めっちゃ知的にスリリング。¥2,750/Pヴァイン

『神経症的な美しさ アウトサイダーがみた日本』
モリス・バーマン(著) 込山宏太(訳)

アメリカ生まれの著者は、幼少期に日本の刀鍛冶の生き様に魅せられたらしい。彼がさまざまな事例を通して歴史的に形成された日本人の精神性を解き明かした本書は、同時にそれがポスト資本主義社会をサヴァイブするヒントにもなりうるのではないかと語る。外側の眼差しだからこそ見出された日本のポテンシャルがここにはある。¥4,180/慶應義塾大学出版会

『パゾリーニ』
四方田犬彦(著)

昨年、生誕100周年を迎え、日本でもレトロスペクティブが開催された、イタリア人映画監督のピエル・パオロ・パゾリーニ。映画監督だけでなく、詩人、小説家、政治評論家としても活動し、謎めいた死を遂げたパゾリーニの一筋縄ではいかない足跡が、おそるべき筆圧で刻みつけられた1冊。ぶっちゃけ高い。しかし、その価値は間違いなくある。¥13,200/作品社

『ミシェル・フーコー 権力の言いなりにならない生き方』
箱田徹(著)

ミシェル・フーコーは、20世紀の現代思想界を代表するひとりとして名高い。しかし、難解だ。そんなフーコーの思考が、わかりやすくコンパクトにまとめられた本書は、主に彼の社会批評理論にフォーカスし、現代の社会を変えるための道筋を指し示す。読んだ後、とってもやる気があがってくる一冊だ。¥880/講談社