カルチャー

12月はこんな本を読もうかな。

こたつの中で温まりながら読みたい4冊。

2022年12月1日

text: Keisuke Kagiwada

『姫とホモソーシャル 半信半疑のフェミニズム映画批評』
鷲谷花 (著)

現代日本で最も誠実なフェミニズム映画批評本がこちら。著者の姿勢はまえがきから伝わってくる。『白雪姫』や『シンデレラ』に対し、「シンデレラ・コンプレックス」の温床だから許すまじと通り一遍の批判をして理解した気になるのではなく、具体的な細部に真摯に目を凝らした上で(しかもその目の付けドコロが面白すぎる!)、むしろ評価したりしちゃうんだから。そんな具合で取り上げられるのは、タランティーノから『ハウルの動く城』まで! マジ必読! ¥2,640/青土社

『7・8元首相襲撃事件 何が終わり、何が始まったのか?』
河出書房新社編集部(編)

2022年7月8日に起こった安倍晋三元首相の暗殺事件。本書はその後の展開も含め、いまだ日本に激震を走らせ続けている同事件について、日本を代表する知識人たちが論じた論考集だ。とりわけ小泉義之、平井玄両氏による文章には蒙を啓かれた。あの事件は何だったのか? それを整理したい人にはためになるはず。¥1,980/河出書房新社

『オーウェルの薔薇』
レベッカ・ソルニット(著) 川端康雄、ハーン小路恭子(訳)

ディストピアSF小説の傑作『1984』の著者ジョージ・オーウェルの伝記だ。とは言え、一般的な伝記とはまるで毛色が違う。実際、彼が1936年に薔薇の苗木を植えたというエピソードに端を発し、ときに脱線と言ってもいいような挿話を縦横無尽に盛り込みながら進むからだ。そんな中、一貫して思考されるのは、「自然の持つ政治性」というテーマだ。¥3,630/岩波書店

『唐突ながら ウディ・アレン自伝』
ウディ・アレン(著) 金原瑞人、中西史子(訳)

タイトルの通り、「たしかに唐突だなぁ」と思わずにはいられないウディ・アレンの自伝が登場だ。少年時代から映画界での日々、それから例のスキャンダルについてまで、自身の言葉で語られる。今、ウディについては率直に好きと言いにくい空気があるが、彼の映画に深く影響を受けちゃったことがあるならとりあげず本人の声に耳を傾けるべし。¥3,630/河出書房新社