ファッション
新しくなったSupreme Harajukuはもう行った?
店内のアートワークが新しくなったぞ!来日していたCHITOにもインタビュー。
2022年10月5日
photo: Yuri Manabe
text: Mayumi Yamase


原宿にあるSupremeの店内アートワークが新しくなってリニューアルオープン。
お店の特徴でもある大きな窓には、それに負けないくらいの巨大スクリーンが登場。外からでも十分スケート動画を鑑賞することができたり、店内にはSupremeと縁のある豪華なアーティストたちによる作品もあるみたい。今回はその内の1人も特別に来日しているとのこと。早速お店に会いに行ってみた。




入って真っ先に目に入ってくるのがマーク・ゴンザレス、通称ゴンズの巨大な立体作品だ。プロスケートボーダー、アーティストでもあり、Supremeのモデルとしても登場する彼の立体作品は原宿店だけでなく、世界中のSupreme店舗、ニューヨークを始め、パリ、そして渋谷にも置かれている。原宿の「Bird」はその中でもゴンズを代表する作品のひとつ。店内の真ん中に置かれていて、羽を広げ入ってくる人みんなを迎え入れてくれている。



奥の壁の一面を飾るのはアーティスト、ウィアード・デイブによる壁紙。新聞や雑誌からの切り抜きを使用したコラージュが特徴的。ちらほらと見えるアイコニックな顔を探すのも楽しい。
ミューラルを描くために来日していたCHITOにインタビュー

長くこしらえたマスタッシュ(髭)と一見スキンヘッドかと思いきや首元から垂れる長い髪。自らのシグネチャーでもある犬のグラフィックが描かれた小さなリュック(中身はヘッドフォンのみ)を背負って現れたCHITO。個性的な風貌も、まさにワン&オンリーなアーティスト。今回手がけたミューラルを始め、彼自身の生い立ち、好きだった洋服のことまでいろいろと話を聞いてみた。

シアトルに生まれ育って、どのような子供時代でしたか?

CHITO
何回か引っ越しをしたけど、基本はずっと南シアトルに住んでたんだ。いつもペイントをしてたよ。10歳のときにラスベガスに2年だけ移ってそこでグラフィティに出合ったんだ。12歳のときにシアトルに戻ってきたら、この街がいかにペインティングされているのかってことに気がついたんだ。

ラスベガスにもいたんですね。そこでの暮らしはどうでしたか。

CHITO
10代だったっていうのも関係があると思うけど、ただ周りで起こっていることに興味があったんだよね。あと、その頃にちょうどスケートを始めて、スケートパークに毎日のように行っていただ。でも全然上手くならなくて。だから、とりあえず外に出て、そこでハングアウトするみたいなことをしていたんだ。スケートが上手くならないから、代わりにグラフィティを始めたんだよ。

周りにもライター友達がいましたか?

CHITO
最初ラスベガスからシアトルに戻った当初はあまりライターの友達はいなかったね。だから描けそうな壁があれば学校帰りに一人で描きに行ったりしてたよ。そのときに初めて他のグラフィティライターに出会って、描く場所や描き方などを教えてもらったんだ。当時はスプレーもマーカー、あるものなんでも使って描いてたよ。とりあえず、外に出て、夜街を探索して。すごく楽しかったね。今でも知らない街を探索するのは大好きなんだ。



日本も今回で6回目、旅をするのが好きだと聞きました。

CHITO
そう。初めて来たのは2017年だったと思う。日本はいいよね、好きだよ。今も実際旅の途中で、この前まではメキシコを拠点に活動していたんだけど、次に住むいい場所を見つけれたらって思ってるんだ。パリ、ニューヨーク、ロンドン……東京も、もし不可能じゃないなら住んでみたいよ。

犬のモチーフを使うことが多いですが、この犬について教えてください。

CHITO
骨を咥えているのが“フィネス・パップ”。仲間を守っている“ウォッチアウト・パップ”。小さい頃から犬はいつもそばにいたんだ。最初に飼っていたのは、T.K.O(トータル・ノックアウト)という名前で、次に飼ったのがライティ、その次がアポロ。今も飼いたいと思ってるよ。



初めて服に絵を描いたときのことを覚えていますか?

CHITO
2014年ごろだったと思う。プレゼントでエアーブラシをもらったんだけど数年くらい使わずに持っていたんだ。そしたら、それを知ってる友人がエアーブラシを使ってシャツに絵を描いてくれないって頼んできたのがきっかけ。それからエアーブラシの良さにも気がついて、どんどん使うようになっていったんだ。

街と、キャンバスと、洋服と、それぞれに描くときのメンタリティは変わるものですか?

CHITO
全然違うね。アプローチがまず全然違うよね。グラフィティは環境を変えるものだし、公共に描くものだから、人が触れることもできるし、消されることだってある。それに比べて洋服はもっとパーソナルで、作るときも誰かに向けて作ることがほとんど。自分のために描くときは自分の好きなものを描いても、誰も文句を言わない。一つ一つ違うし、洋服はファインアートだと思っているから、描くときもちゃんと思いや魂を込めて描くんだ。洋服はキャンバスと違って一発勝負だしね。




10代の頃、Polo Ralph LaurenやFilsonに夢中になっていたそうですが、その後、自分のアウトフィットのスタイルはどのように変化しましたか。

CHITO
そうだね。10代の頃はPoloが好きで、LO LIFEが掲げているクラシックな“ニューヨークスタイル”みたいなのはすごく影響を受けたね。最初はネットでその存在を知って、どんどんハマっていったんだ。今も前ほどではないけど着ているよ。Filsonはシアトルの代表するブランドだし、かっこいいと思うよ。自分のスタイルっていうわけではないけど、地元で手に入れられるっていうハンディさもあったと思う。あと当時はあまり他のブランドを知らなかったからね。旅行をし始めて、初めて他のStone IslandやCDG、Yoji Yamamoto、C.Eなどのことを知ったよ。当時はグラフィティばかりやっていたっていうのもあると思うけどね。

Supremeとの関わりはいつから始まったのでしょう? コラボレーションのほかに、ルックのモデルとしても登場していますね。

CHITO
最初に声をかけられたのは、実は前に東京に来ていたときだったんだ。彼らに“フィネス・パップ”と“ウォッチアウト・パップ”を見せたら気に入ってくれて。そしたら、その後モデルもやることになったりして、関係が始まっていったんだ。

店舗にアートワークを書いてみていかがでしたか。

CHITO
いい感じだと思う。日本で初めて描いたミューラルだし、ここは自分が住んでいるわけでもなく常に自分がいる場所じゃないから、彼ら(ミューラル)がここで生きて、自分達の生き方を見つけていってくれるのが楽しみだよ。それに、Supremeは手助けしてくれたブランドだし、ここに描けたことはとても嬉しく思うし自分の中でもしっくり来てるよ。描くものに関しては、最初から自分の中ではイメージがあったけど、それは見る人に解釈して受け取って欲しいからあえて自分から説明はしたくないかな。
インフォメーション
Supreme Harajuku
◯東京都渋谷区神宮前4丁目32-7 神崎ビル2F ☎️03・5771・0090 11:00~20:00 無休
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