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【#3】ワールドミュージックのエキスポ「WOMEX」

2022年9月26日

photo & text: Salam Unagami
edit: Yukako Kazuno

『WOMEX』2021 ポルトガル・ポルトにて。夕方のコンベンション会場。世界中から集まった音楽業界関係者たちと乾杯。

 毎年10月中旬にヨーロッパ諸都市で開催される世界最大のワールドミュージックのエキスポ「WOMEX」が近づいてきた。フライトや宿の手配、そして出演アーティストたちのチェックなど、準備が忙しくなってきた。「WOMEX」はワールドワイドミュージックエクスポの略で、1990年代から30年以上も続いている。

 5日の期間中、東西ヨーロッパを中心にアフリカ、南北アメリカ、中東、アジア、オセアニアから約65組、厳選された音楽アーティストたちが短いショーケース演奏を行い、それをやはり世界中から集まった僕のような音楽評論家、フェスティバルのオーガナイザー、プロデューサーや音楽エージェント、約2,500名が観覧する。昼にはコンベンション会場で、各国のアーティストや政府機関、マネージメント会社やレーベルなどのスタンドが200以上も並び、商談が行われる。その他、ワークショップやレクチャー、パネルディスカッション、最新の音楽ドキュメンタリー映画の上映会なども頻繁に開かれる。

ラトビアの女性合唱団Saucejas。森の精霊のような歌声。

 世界のアーティストたちにとっては一年最大の売り込みの場であり、僕や音楽業界関係者にとっては最大の収穫の場となる。

 今年の会場都市はポルトガルの首都リスボン。これまで僕はスペイン・カナリア諸島のラス・パルマス・デ・グラン・カナリア、フィンランドの「世界のサウナ首都」ことタンペレ、ポルトガルの古都ポルトでの「WOMEX」を訪れた。タンペレでは当然サウナにハマり、ポルトでは蛸や干し鱈を使ったポルトガル料理と地酒「ヴィーニョ・ヴェルデ」にハマった。今年もリスボンで再びポルトガル料理を堪能できるのが楽しみでならない。

タンペレではサウナにハマり、外気氷点下の中、湖水にダイブ!
ポルトではポルトガル料理にハマリ、魚介雑炊を一気食い!

 出発前の僕の準備は、YouTubeで出演する65組の演奏映像を聴き、現場で観たいアーティストたちをチェックし、特に気に入った数組にインタビューを申し込むこと。期間中は時差ボケに悩まされることは間違いないし、いくら寝る時間を削っても、観られるのは最大で25組ほどだ。そして、昼間は業界の友人、知人たちと交流するためスケジュールが忙しく埋まり、インタビューも行えて最大6組ほどだ。けっして仕事としての効率は良くはない。

 それでも毎年通ってしまうのは、「WOMEX」が世界中の同じ業界の仲間たちがが一年に一度集い、お互いの生存を確認し、新しい仲間と祝杯を上げる祭りだからだ。僕はこの仕事を続ける限り毎年、この祭りに顔を出し続けるつもりだ。今年はどんな出会いと驚きが待っているだろうか?

プロフィール

サラーム海上

1967年、群馬県高崎市生まれ、明治大学政経学部卒業。DJ/中東料理研究家。中東やインドを定期的に旅し、現地の音楽シーンと料理シーンをフィールドワークし続けている。NHK-FMのワールドミュージック番組『音楽遊覧飛行エキゾチッククルーズ』のナビゲーター。J-WAVE の『Oriental Music Show』では2017年日本民間放送連盟賞ラジオエンターテインメント番組部門最優秀賞を受賞。『美味すぎる世界グルメ巡礼』『MEYHANE TABLE More! 人がつながる中東料理』ほか著書10冊。

Official Website
www.chez-salam.com