トリップ

【#4】旅に病んで夢は枯野をかけ廻る②

2022年9月2日

私はまだ生きていて、ばあちゃんや芭蕉さんのように死んでもいないのに旅に行くことができなくなった、コロナ禍で。私だけではなく、全世界の旅人が旅をできなくなった。この2年、POPEYEの読者であるシティボーイのキミたちは上京、新卒で即リモート、人生「海外へ行く」なんて選択肢はなかったと思う。

旅は行ける時に行かないと行けなくなってしまう。

この夏、ようやく、海外に行けるようになった。『地球の歩き方』編集室で働くメンバーもハワイを皮切りにトルコ、フィンランド、バンコク、モルディブ、みな糸の切れた凧のように、思い思いの場所に行きはじめた。行けなくなった経験をしたからだ。みな、異常にフットワークが軽い。もしかしたら半年後、また行けなくなる可能性もあることを知ったからだ。それが何年続くかもわからない悶々とした日々を過ごしたからだ。

さあ、旅に出よう、若者たち。行くなら今だ。

「えー、おっさん、説教じみてて、めんどくせー」と聞き流してもらって結構。損をするのは23年後のキミたちだ。高校1年の時にラグビー部の先輩が「おまえら、今のうちに勉強しとけよ、3年になってからはじめても間に合わないからな、浪人しかないからな、選択肢は」と言われて、この人たちは頭が悪いからこんなこと言っているんだろうなーくらいに聞き流していたけど自分が3年になった時に1年に向かって同じ話をしたときに「はて、どこかで聞いたような話だな」というのを覚えている。

人は自分がその立場にならないと聞く耳を持たないし、関心もないのはわかっている。なので言い方を変えよう。ここまで読んだキミはラッキー。旅に出るきっかけができたんだから。

ラジオの番組で葉加瀬太郎さんとお話をさせていただいた時に、「あなたにとって旅とは」という質問をされ、私は「人生にちょこっとだけかけるスパイスです」と答えた。スパイスだけだと料理は成立しないし、スパイスがないと味がしまらない、旅ってそんなポジションなのかなと。自分の人生を豊かにしてくれるスパイスを探しに行ってほしい。

余談です(センデンデース)が、なんと、『地球の歩き方』は2年ぶりに海外旅行ガイドブックの改訂版を作り始めた。ひとつは王道の『ハワイ』で、もうひとつはPOPEYE読者なら全員行かねばならぬ『ニューヨーク』。ニューヨーク行かずしてPOPEYE読むことなかれ、です。物価が高い、円安だ、航空券が高い、いやいやいやいや、借金してでも旅に出てほしい。

地球の歩き方
2年ぶりの旅の再開のおともに「ハワイ」「ニューヨーク」の最新版

もし行くのをためらう、悩んでいるのであれば、インスタ、ツイッター、どの窓口からでもかまわないので地球の歩き方編集室に連絡をしてほしい。シティボーイの旅を応援するし、相談にものるので。旅に出たいキミたちを地球の歩き方は応援します。

旅の再開を地球の歩き方は全力でフォローします

じゃ、また地球のどこかで会いましょう!

プロフィール

宮田崇(旅行ガイドブック『地球の歩き方』編集長)

みやた・たかし|1977年横浜市生まれ。旅行ガイドブック『地球の歩き方』編集長。

地球の歩き方とは、1979年に発刊した老舗の海外旅行ガイドブックで観光地の見どころやグルメだけでなく、歴史や文化、食、マナーや言葉まで、そのエリアをきちんと知るための情報が網羅されている。語学が苦手な日本人でも、この1冊で日本の空港から旅立たせ、再び無事日本の空港へ帰すことを信念に作られているので、旅人に寄り添った作りになっていることも特長のひとつ。
スマホ時代の現在、旅人に必要な情報まで最短でたどり着かせる『検索結果の集合体』と言われることがある。

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