LIFESTYLE

成田山でファスティング。

2021.04.29(Thu)

illustration: Michihiro Hori
text: Ken Miyamoto

 食べるだけでなく“抜く”ことも健康法のひとつ! ファスティング、つまり断食が流行っているのはもちろん薄々感づいていた。“プチ”と接頭語がつくことや、コンビニ断食なるもの、ヨーグルト断食などメソッドは数あれど、僕たちが最も心惹かれるのは昔ながらの様式だ。で、訪れたのが成田山新勝寺。こちらは二宮金次郎や歴代の市川團十郎が断食修行を行った由緒正しき道場でもある。口にしていいのは、道場内の蛇口から出る水(地下水)だけで、あくまで修行だからケータイやパソコンなどの電子機器は持ち込み禁止。そして2泊3日で5000円の手軽さ。神聖な場所ゆえ、屋内の撮影ができないから今回は漫画家の堀道広さんと体験してきた記録をルポしよう。結論から言うと、断食修行は最高だった。あまりに膨大な暇を与えられ、食事と仕事を取り上げられ、時間だけがそこにある。することは呼吸か睡眠のみ。体だけでなく、頭の中のモヤモヤもすっきりした。最後は食欲以外の欲が消え「鍛えるってなに?」と自問自答が始まる。

4:50 健康チェック
世話係による健康チェック。方法はシンプルで、飲んだ水の量を書いた紙を渡し、挨拶の声のハリで元気かどうか判断される。ここで女子寮の人と初対面。いま現在、何日目かを聞き合う。

5:20 朝護摩
大本堂で行われる朝護摩供に参拝するのが修行中の日課。少しずつお坊さんが増えてやがて何十人も並ぶ景色は迫力満点。お腹がすいてボーッとした状態で何十人ものお坊さんが読み上げるお経を聴いていたら、不思議な世界に連れていかれた。場所の雰囲気的に正座をしてしまうけれど、あぐらでも大丈夫。40分くらいあるからね。

10:00 坐禅体験
申請をすると坐禅を教えてくれる。こちらは密教坐禅作法で、数息観という息を数えることに集中する方法。5分ほど呼吸だけに意識を傾けていると、だんだん気持ちよくなってきて、お腹がすいていることを一瞬忘れられる。初日は朝8時に集合し、ここからスタート。

11:00〜 写経
写経体験もある。始めた瞬間「どうしよう、これは途方もない時間がかかるぞ」という邪念が頭をよぎるけれど、途中からランナーズハイのような感覚になり、結果、良い暇潰しになった。さらに、墨汁はおいしそうな匂いがすると気がついた。だいたい1時間で終わる。

15:00 読経
毎日、15時にみんなでお経を読む。これといったイベントが他にないので、全身全霊を込めてお経を読める。最後、一人ずつ感想を言うタイミングがあり、ちょっとだけ緊張が走った。

16:00〜 部屋での過ごし方
上に書いた以外はすべて自由時間。敷地内から出られないので散歩か昼寝しかやることがない。お腹の中に何も入っていないので、今まで味わったことがないほど昼寝が気持ちよく、寝起きもスッキリ。そのうち、寝ているのか起きているのかわからなくなって極上のチルアウト状態に。これは断食ならではの感覚かもしれない。

22:00 消灯
22時になったら消灯。さんざん昼寝をしたから、眠れないのではと思いきや堀さんも僕も爆睡。とにかく眠れる修行だった。一瞬だけど、電気を消した瞬間が最もご飯を食べたくなる。

※新型コロナウイルス感染防止のため、当面の間は断食修行の受け入れを中止しています。

illustration: Michihiro Hori
text: Ken Miyamoto

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