CULTURE

RADICAL Localism Vol.8/家庭菜園は革命だ!

文: ロジャー・マクドナルド

2022.06.07(Tue)

photo & text: Roger McDonald
cover design: Aiko Koike
edit: Yukako Kazuno

レイズドベッドで畑のエリアを使いやすくする。

 この言葉を伝えたのは、長年インドで環境アクティビストの活動を実践してきたヴァンダナ・シヴァです。シヴァは現在3つの「危機の中」にいると言いました。「気候変動による様々な危機・ピークオイルとエネルギーの危機」そして「食糧危機」です。この複雑で巨大な問題に対して、まず一人の人間ができることは、土ともう一度関係を作り直すことだ、とシヴァは訴えました。今、地球の多くの土は過剰な化学農業のプロセスによって弱まっていると彼女は指摘しています。

庭にあるコンポスト小屋。

 インドの再生農業の研究をし、ヨーロッパで「オーガニック農業」の先駆者の一人でもあったアルバート・ハワード(1873-1947)は、土に対してこのように述べています。「豊かな微生物相とミクロファウナで構成された健全な生命に満ちた土壌は、健全な植物を育みます。そして、その植物を動物や人間が食べることで、動物や人間に健康をもたらすのです。」

 ハワードが言う「生命に満ちた土壌」を促して、増やし、生活の中に入れていくことが今、最も大事な一つのアクションでもあると思います。田舎に住む人や庭がある人は、まずできる形で家庭菜園を始めることをお勧めします。都会に住んでいる人やアパートにいる人もできることはたくさんあって、小さなベランダや玄関先で野菜をポットで育てることはできるのです。土づくり(コンポスト)も生ゴミや、ダンボール、枯葉で作ることが可能です。

山の斜面に作っている畑。

 私も12年前に望月に移住してきてから、住んでいる森の一部を毎年、野菜畑にしています。地形が傾斜で大変ですが、あるものを少しずつ利用して土も作ってきました。山に会う「フーゲルカルチャー」や「ノーディグ」、土を耕さない方法などを取り入れて、とても楽しい実験的な野菜作りをしています。シヴァが話す「革命」とは、まず、いかに私たちの現代生活が破壊的なシステムの上で成り立っているかに気づくことだと思っています。少しでも自分で土を触り、野菜を育てることは、その巨大でいろんなものを搾取してきた「機械的なシステム」を批判的で賢い視点で見ることでもあると思います。土を触る、野菜を育てる実践から、もう一回、今必要な倫理や、幅広い関係性(人間中心主義ではなく、動物、木、や星とつながっていること)が見えてくるのです。

プロフィール

RADICAL Localism Vol.8/家庭菜園は革命だ!

ロジャー・マクドナルド

東京都生まれ。幼少期からイギリスで教育を受ける。大学では国際政治学を専攻し、カンタベリー・ケント大学大学院にて神秘宗教学(禅やサイケデリック文化研究)を専攻、博士課程では近代美術史と神秘主義を学ぶ。帰国後、インディペンデント・キュレーターとして活動し、様々な展覧会を企画・開催。2000年から2013年まで国内外の美術大学にて非常勤講師もしている。2010年長野県佐久市に移住後、2014年に「フェンバーガーハウス」をオープン、館長を務める。

Official Website
fenbergerhouse.com

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