LIFESTYLE

メモするふりしてスケッチを。【後編】

よーく覚えておきたいものと出合ったら、スケッチをとるのもいいかもしれない。

2022.07.31(Sun)

photo: Tatsunari Kawazu
text: Koji Toyoda, Momoko Ikeda (Chad Bri)
2020年7月 879号初出

前編から読む。

スケッチと道具 #3

若菜晃子 編集者
1968年、兵庫県生まれ。『wandel』編集長、『山と溪谷』副編集長を経て、現在は「街と山のあいだ」をコンセプトにした小冊子『mürren』を手掛ける。最新号の特集は「ネパールの音」。

ノートは、表紙を画板(台になる板)代わりに使える「ミューズ」社のブルフォンセ。ペンは、インクの滑りがいい〈パイロット〉の「ハイテック05」。インクペンを使う理由は、気合を入れて(笑)、一気に描くため。

 日々の生活に余裕ができたときに、これまで見過ごしていた身近な自然をちゃんと描き留めておかなくちゃと思ってスケッチを始めました。近所を散歩するときに草花や木を見て、これはいいなあと思ったときに描きますね。ときには持っていったお弁当を描くときも。全部同じノートを使っていると後で見返したときにわかりづらいので、山に行くときは山ノート、旅に行くときは旅ノート、散歩用はフィールドノートと使い分けています。絵を描くようになったら、ものをよく見る姿勢が知らず知らずのうちに養われたように思います。


スケッチと道具 #4

フランク・リーダー デザイナー
1974年、ドイツ生まれ。’99年に〈フランク リーダー〉をスタート。定番素材のジャーマンレザーをはじめ、昔から使われてきた素材やワークウェアの要素を服づくりに落とし込む。

ノートはやはりポケットサイズが大前提と言うフランク。小さな〈スマイソン〉のレザーカバーブックレットを使い、力強い描き味の鉛筆はヴィンテージのチェコスロバキアの「ボヘミアワークス」社製。

セントラル・セント・マーチンズに通っていた学生時代からスケッチを描く習慣が体に染み付いている。僕は洋服のデザインをしているけど、滅多に服は描かなくて、そのときの気分や状況でものを描くことが多い。ちなみにここに描いているのはキツネだ。2019年春夏コレクションのテーマ「かかし」のルックブック撮影をしているときに、パーフェクトな夕暮れの中から突如現れた来訪者を〈スマイソン〉のノートにささっとスケッチした。日々の中で、一瞬のひらめきや感覚を記憶するために描く、それがアイデアに繋がっていくんです。


ポパイが選んだのはこの2冊!

1. ポスタルコ

めくった状態だと表紙がノート下部から3㎝ほど長く出る設計。それで描く手を支えられる〈ポスタルコ〉のリング式メモパッドは天才的発明。1㎜方眼は縦横の線の太さを揃えることで集中の妨げにならず、ときに絵を描く際の補助線となってくれる。もちろんポケットサイズ。わりとどこでも買える三菱〈uni〉の水性サインペン「PiN」が相性よしと、マイク・エーブルソンさんは教えてくれた。¥1,800(ポスタルコ京橋店☎03・6262・6338)

2. 月光荘画材店

銀座の老舗『月光荘画材店』の店主と猪熊弦一郎画伯がデザインした表紙がまず品のよいスケッチブック。淡いブルーのドットが控えめに配された紙面は描くきっかけが掴みやすい。8Bのオリジナル鉛筆はソフトでとろける描き心地。ポケットに入る色鉛筆セットも。そろそろ、また銀座を歩くのが楽しくなってくる頃かな。スケッチブック「0F」¥280、8B鉛筆¥225、限定の鉛筆キャップ¥650、色鉛筆¥1,140(すべて月光荘画材店☎03・3572・5605)
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