カルチャー
BMWでスピン!
2022年5月31日
車があれば!
photo: Ryan Cookson, Shu Yamamoto (book)
text: Koji Toyoda
coordination: Hiroko Yabuki
2022年6月 902号初出
オーストラリアの写真家、ライアン・クックソンの作品集『テル・ゼム・アバウト・ミー』を手にとれば、ページを捲る手が止まらないだろう。なんてたって、BMWのセダンでスピンしまくる写真がひたすら続くんだもの。しかも、子供も大人も皆、このクレイジーな“遊び”に観客として熱狂しているし……。一体何なのこれ?

調べてみると、これは南アフリカのソウェト地区で発祥したカーカルチャー。その名もBMWスピニング! 現地のスピナーと生活を共にしたライアンによれば、もともとは’80 年代後半に地元ギャング団の弔いの儀式だったものを、“遊び”に飢えた若者たちが真似するようになったのが始まりなんだって。面白いのは、’80 年代東京で“六本木のカローラ”と呼ばれたBMW E30型(325iS)が、グーシェ(現地のスラングでQUICKの意味)という名でスピナーに崇め奉られていること。そんな最高の一台を駆って、路上でスピンを始めれば、家という家から人が飛び出てきて、それを囲んでのお祭り騒ぎ。明確なルールや勝ち負けはなく、ドライバーはとにかくエグいスピンをキメて、観衆を熱狂させるだけ。同乗する補助ドライバーも、ボンネットに乗ったり、箱乗りしたり。荒馬のようなBMWの上で、路上のフェスを盛り上げる。これはもはやモータースポーツ版のロデオ。そして、スピナーたちは南アフリカに現れた現代のカウボーイといったところか。その狂乱に満ちたカルチャーをこの写真集とYouTubeで覗いてみれば、キミもスピンしたくなるはずだぜ。

インフォメーション

“TELL THEM ABOUT ME”
メルボルンの出版レーベル「KNOWLEDGE EDITIONS」よりリリースされたBMWスピニングカルチャー初の写真集。カバーデザインと折り込みポスターは、泣く子も黙るNYのアーティスト、ハッサン・ラヒム作。ライアンのウェブでは、BMWスピンの短編映画が観られるぞ。
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