「選択の重み〜ライフイズストレンジ/ライフイズストレンジ2〜」
『ゾンビと資本主義―主体/ネオリベ/人種/ジェンダーを超えて』を読む。

遠藤徹(著)
ホラー映画でお馴染みのゾンビは、黒人の民間信仰を源流とし、19世紀にハイチのヴードゥー教の「生ける屍」となった。その得体の知れなさから、あらゆる社会問題の隠喩として描かれてきたゾンビの表象が担う意味を、現代思想を駆使してあぶり出す知的スリルに溢れた1冊。読後はきっと、これまでただ楽しんでいただけのゾンビ映画を観る目が変わってしまうに違いない。
OPEN SITE 7 @トーキョーアーツアンドスペース本郷

トーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)による企画公募プログラムOPEN SITE。2016年からはじまり、第7回となる今年は135企画の応募の中から展示やパフォーマンスなど9企画を選出。そこにTOKAS推奨企画と普及プログラムを加えた合計11企画を実施。キュレーションされ、テーマの統一性をもつような通常の展覧会とは違って、アーティストそれぞれに異なるテーマと表現方法で作品を探究しているから面白い。パフォーマンス公演及び一部のイベントは予約制なのでサイトをチェック。たくさん刺激をもらえそうだ!
会場:トーキョーアーツアンドスペース本郷
会期:[Part 1]2022年10月22日(土)〜2022年11月27日(日)/[Part 2] 2022年12月10日(土)〜2023年1月22日(日)
時間:[展示] 11:00-19:00/[パフォーマンスなど]企画により異なる。
休み:月曜日(1/9は開館)、11/28-12/9、12/29-1/3、1/10
料金:無料(パフォーマンスは有料)
棚田康司展「はなれていく、ここから」 @ミヅマアートギャラリー

樟の一木造りに彩色、鉛、金箔 164×53.5×51cm
撮影:宮島径 ©︎ TANADA Koji Courtesy of Mizuma Art Gallery
本展のタイトル「はなれていく、ここから」は近年の「分断」のムードを想起させる。これまでの彫刻作品では、時事的なモチーフを直接には避けてきたという棚田だが、この度展示される新作の絵画シリーズでは「今をどう生きていて何を見ているのか」という新たな視座が示されている。そこではさらにジェンダーやセクシュアリティなどの問題に目を向けるだけではなく、人体のヌードをいかに肯定するのかという彫刻家ならではの視点で作品にアプローチされているというから注目だ。
会場:ミヅマアートギャラリー
会期:開催中〜2022年11月26日(土)
時間:12:00〜18:00
休み:日、月、祝日
料金:無料
『ドント・ウォーリー・ダーリン』 オリヴィア・ワイルド(監)を観る。

青春映画の新しいマスターピース『ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー』のオリヴィア・ワイルドによる待望の長編監督第二作なのだが、これは驚いた。なんせ50年代と思しきアメリカ西海岸の街を舞台に、夫ジャックと何も不自由のない暮らしを営むアリスが、この街の秘密を知ってしまうというスリラーなんだから(コメディアンのリチャード・アイオアディが青春映画『サブマリン』の後にスリラー『嗤う分身』を撮ったのを思い出した)。ただし、そこは物語には社会が押し付ける女性の役割分担への批判も織り込まれている。さすがオリヴィア! 11月11日より公開。