創刊当時の『ポパイ』でも積極的に取り上げていたサーフィンが、今また人気を集めている。湘南の海は、どこを切り取ってもまるで“カラスの群れのように(ユーミンの名曲「真冬のサーファー」より)”、ウエットスーツを着た人ばかり。しかし何事でもそうだけど、ブームのときこそ試されるのはスキルよりも、いかにそのカルチャーに対して造詣が深いかどうかだ。我が国ニッポンのサーフィン文化を知らずして、波や、海外からくる流行のウネリにばかり目を向けていてはいけない。センパイたちが残してきたいくつものサーフ指南書を見てみてはいかがだろう。
機を見るに敏、というわけではないが、鎌倉の由比ガ浜通りに、サーフィン古書を中心に扱うブックカフェ『星月夜書房』がオープンした。サーフィンにまつわる洋書が見られるお店は、きっといくつもあると思うけど、ここの特筆すべきところは、ニッポンの書籍が中心に置かれているということ。
その選書ときたら極めておもしろい。『毎日グラフ』や『少年マガジン』などにおける60年代初期の日本サーフィン創成期頃の記事や、70年代に日本で生まれたサーフィン雑誌『サーフマガジン』の創刊号、当時のハウツー本『たのしいサーフィン』などなど。
他にも我らが『ポパイ』、『平凡パンチ』のサーフィンにフォーカスした特集や、書籍も片岡義男の各作品、日本で最初にサーフボードレーベルを立ち上げたと言われる高橋太郎の物語『白いサーフボード』、星新一の娘でサーファー・星マリナが手掛けた『わたしの波乗り日記 in Hawaii』といったセレクトで気になるものがいっぱいある。

1978年『ポパイ』“ザ・サーフボーイ”。いわゆるサーフィン誌とは違った切り口がいっぱいでおもしろい。今ではちょっと高値。

“男のための海の特集”と題した1971年『平凡パンチ』。登場する湘南の第一世代サーファーたちの若かりし頃がなんともバタ臭くてかっこいい。

1984年『源にふれろ』。カリフォルニア生まれの作家、ケム・ナンによるサーフィン青春小説のオールタイム・ベストで、アメリカ図書賞最優秀新人賞ノミネート作品。

サーファーのバイブル的映画『ビッグウェンズデー』の小説版、しかも訳は片岡義男。

『鎌倉幕府のビッグウェンズデー』。筆者がホノルルで見つけた、板の上で腹ばいになる男が描かれた700年前の日本の古巻物からできた小説。

日本最古のサーフボードメーカー〈ダックス サーフボード〉を創った高橋太郎の物語。義兄はあの〈ゴローズ〉の高橋吾郎。家族揃ってパイオニアだった!

『サーフマガジン』が作ったハウツー本『サーフィング ザ・マインドコントロール』と、ポパイとも関係の深いドジ井坂の作ったハウツー本『トライイットサーフィン』
他にも、当然洋書など、いろいろあるから真のサーフボーイはお店へGO!
店主の杉山登さんは、東京・渋谷で生まれ育ったシティボーイで、長年かけてこれらの資料をコレクトしてきた文化系サーファー!(それでいてサーフィンも、めちゃくちゃクラシックでスタイリッシュ)。日によってはサーフィンにまつわる貴重な映画を2本立て上映するなど、学びのツールが本だけにとどまらないのも面白いところ。おいしいコーヒーとヘルシーフードも作ってくれる星月夜は、僕たちにサーフィンの新しい側面を教えてくれること間違いなしだ!
インフォメーション

ブックカフェ 星月夜書房
◯鎌倉市由比ガ浜1-3-3-2F ☎0467・53・7783 当面の間は月4回営業。hoshizukiyo.cafe@gmail.com
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