カルチャー
YouTubeで観る傑作ショートホラー。
映画監督ジュリアン・テリーに質問。
2021年8月20日
YouTubeで公開されている『あつまれ どうぶつの森』がモチーフのショートフィルム『DON’T PEEK』が長編映画化されるらしい。監督はLAを拠点に活動するジュリアン・テリーさん。ショートホラーを何作も手掛け、YouTubeで公開している映画監督だ。クオリティの高い作品が、インターネットで視聴できるなんてスゴい。その制作方法が知りたくて、メールで聞いてみた。ハロー、ジュリアン。どうして作品をオンラインにアップしているの?
「最近のトレンドだね。SXSWのような映画祭に出品するだけじゃなく、オンラインを通じて注目されることで映画会社にフックアップされる機会が増えたんだよ。もしフィルムを作ってネットで公開しようとしている読者がいたら、作品の中に“バズる”要素を加えておくことをおすすめするよ。注目されるのは難しいけれど、うまくいけば人生が大きく変わると思う」
確かに『DON’T PEEK』はみんなが知っているゲームがモチーフというのも重要だったよね。どういう経緯で思いついたの?
「あの作品は、ある夜、『あつまれ どうぶつの森』をプレイしていたときの出来事が元になってるんだ。ベッドでゲームをしていたんだけど、隣に当時付き合っていた彼女が寝ていたから、起こさないよう部屋の電気を消して遊んでいた。そうしたらふと、足元に何かが隠れている気がしたんだ。ゲームに視線を戻しても、何かいるかも? と疑り深くなってしまって……。ものすごく怖かったから、その恐怖を映画にしてみようと思ったんだ。長編ではもっとアイデアを掘り下げるつもりだよ」
なるほど! いつからショートフィルムの制作を?
「僕は小さいときに『遊星からの物体X』を観てホラーに興味を持ったんだ。あんなふうに変身するモンスターがいるなんて、スリリングで怖かった! 今でも夢に観るくらいだよ。それからずっと夢を見続けて、26歳でようやく映画を撮ったんだ。当時BuzzFeedで働いていて、同僚のアレックスの家のソファで寝ていたときにFacebookでコンテストの情報を知って飛びついた。締め切りはたった5日後だったけど一晩で撮影し、完成した初短編作品『The Nurse』で優勝することができたんだ。アレックスはプロデューサーを買って出てくれて、今も一緒に作品を制作しているよ。実は『Whisper』や『DON’T PEEK』でモンスターを演じているのは実は彼なんだ」
そうだったんだ。注意して観てみるよ。ショートフィルムの魅力は?
「恐怖をストレートに表現できるところ。全体の尺が短くて登場人物のキャラクターを作り込めないぶん、恐怖の演出だけに集中できるんだ。それに1週間もあれば作れるから、コストをかけずにいろんな実験ができる。なかでもいちばん大きいのは、友達と一緒に映画作りができること。仕事というよりも、みんなで不気味なものを作ってる感覚だね。シューティング中に怖い音楽を流して、お互い怖がらせ合うのも楽しいんだ」
楽しそうだね。『DON’T PEEK』の公開が楽しみだよ!
「ありがとう。撮るごとに、どんどん上達してる気がするんだ。記憶に残るようなホラーが作れるように頑張るよ!」
もっとショートホラーが観たい!
Fear Filter
トレーシー・クリーマン/2019年/アメリカ/4分6秒
Snapchatのフィルターで遊ぶ女の子。その画面に不思議なものが写り込んで……。「テクニカルなホラーという領域に踏み込んだ、素晴らしい短編だよ。とても面白いんだけど、Snapchatを使うことにちょっと疑問を持っちゃうよね……!」
Larry
ジェイコブ・チェイス/2017年/アメリカ/5分21秒
駐車場の警備ボックス。タッチパッドでモンスターの絵を眺める男の前に“ラリー”が現れた。のちに長編『カムプレイ』に。「素晴らしい短編。小さな空間で楽しいことがたくさん巻き起こる。その後、彼は僕の作品で脚本を書いたこともある」
Lights Out
デヴィッド・F・サンドバーグ/2013年/アメリカ/2分41秒
電気を消すと現れる“何か”。3分弱ながらしっかり怖いショートフィルム。のちにサンドバーグ自身がこの作品をもとに長編映画『ライト/オフ』を製作した。「めちゃくちゃ怖かった作品! 彼は僕の短編映画『The Nurse』をコンテストの優勝作品に選んでくれたんだよ」
プロフィール
ジュリアン・テリー