FASHION

グッチの心臓。

2021.08.20(Fri)

photo: Yoshio Kato
text: Koji Toyoda
2021年9月 893号初出

思えば、〈グッチ〉にホラーは欠かせない。2018年プレフォールコレクションをテーマに、イタリアンホラー映画の巨匠、ダリオ・アルジェントの名作『インフェルノ』にインスピレーションを受けた写真集を出版。続く秋冬コレクションでは、自らの頭部を模した頭像を抱えたモデルがランウェイを颯爽と歩いた。デザイナーのアレッサンドロ・ミケーレのホラー好きは知ってるつもりだったけれど、今季のグッチ アリア コレクションには度肝を抜かれた。いや、ハートを射抜かれたと言ったほうが正しいか。だって、ランウェイを闊歩するモデルが肩からぶら下げたミニバッグが、紛れもなく心臓だったから。

 よく見るとそれは、大きさも形も理科の教科書で眺めたような精細な心臓の形そのもの。ゴールド加工されたメタルの上から青、水色、紫にピンク、赤のスワロフスキーをふんだんにちりばめた、途方もなくゴージャスな臓器だった。実際に両手で持ってみると重量も生々しく、自らの心臓を手にしているような感覚に頭が混乱してしまう。でも、その一方で神秘的な何かに心が満たされるのも事実だ。それはまるで100周年を迎えた新生〈グッチ〉に新しい血液を送り出す〝シンボル〟を持ち歩いているような……。そう思ったら、なんだか誇らしい。シティボーイもシティガールも今年の秋冬は大切な何かを心臓内部にしまって、肩からぶら下げてみませんか。

インフォメーション

ボタンのようなクロージャーをギュッと押すとパカッと開く心臓。内部には、華奢なチェーンが仕込まれ、まるで本物みたく赤いのもホラーである。右¥913,000、左 参考商品(ともにグッチ/グッチ ジャパン クライアントサービス☎0120·99·2177)

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