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【#4】私は読書が好きだ。

2021年7月3日

 私は読書が好きだ。読書に関しては小学生の時分から、人生で最初に読んだ記念すべき一冊さえ思い出せないくらいに昔からの趣味だ。本当は『かいけつゾロリ』が人生の一冊目だ、覚えていたけれど大人になって『かいけつゾロリ』と文字にするのがなんとなく恥ずかしかっただけだ。 

 学生の頃、読書というのは感想文を課題として書かされたりして、いかにも勉強という感じのものだったのに、いつの間にか読書は私にとって娯楽となっていた。雑誌小説エッセイ漫画、兎に角なんでも読んだ。学生時代の私は友達が少なく、特に何事にも打ち込んではいなかった。そんなうだつの上がらない毎日でも読書だけはし続けてきた。

 思うに読書というのは人生を明るく謳歌している人たちに向けられた娯楽ではないのだと思う。友達が多くて恋人がいる、上手く社会に溶け込めている、そんな人たちにとって読書は情報収集のためのツールにはなり得るが、娯楽にはならない。端的に言えば、パリピは本を読まない。薄めの本であればガタガタするテーブルの脚の下に平気でかませる。そうに決まっている。

 もし仮に、自分の人生を振り返って失敗したと思う出来事を一つずつやり直し、人生の失敗の全てを成功の方に舵を切れたのならば私は読書なんかしなかったと思う。 

 転校初日に明るく振る舞うことが出来て友達がたくさん出来ていれば、受験に成功してキャンパスライフを満喫していれば、大学に真面目に通って就職していれば、本など一冊も読まずに生きられたはずだ。うちひしがれる程ではないが、鬱屈としたぬるい生活の中で私はずっと本を読んでいた。他人に出来ることのほとんどが上手く出来なかった、今考えると読書は現実逃避であったのかもしれない。そもそも成功の方に舵を切ることの出来ない人間だからこんなにも本を読んでいたのかもしれない。

 今までがどうであれ、現時点の自分自身をそこそこ気に入っているので、これからもうだつが上がらないまま読書をしているのだろう。

これで一ヶ月のPOPEYE WEB様での連載も終わりか、短かったなぁ。来週からもダメ元でコラム送ってみようかなぁ。この方法でPOPEYE WEBの担当の方を上手く誤魔化せれば、来週も上がるかもしれません。担当者が間の抜けた人であることを願って、お別れとさせてください。皆様、ありがとうございました。

プロフィール

ニシダ

1994年生まれ。お笑いコンビ、ラランドのツッコミ担当。3月に設立した個人事務所『レモンジャム』社員。ウェブサイト『note』でコラムを執筆中。

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