カルチャー
【#4】ミドリカワ君との事
2021年6月30日
text: Makoto Kobayashi
其の四
いつの頃からだったかは、よく覚えていないけれど、気づけば、毎日の様に、ふらりと現れては、入り口右側のカウンター席に腰掛けて、トルテーヤプレートや旅人のカレー(当時出していたセットメニュー)をゆっくりと味わいながら、カウンター前の白い壁面に設けられていたART BOOKコーナーから写真集を引っ張り出しては嬉しそうにゆっくりと眺めている、傷だらけのスケートボードを持った古着好きの一人の少年がいた。若き日の緑川君だ。
僕と緑川君は、歳は違えども元々、共通の触覚器官を持っていて、お互いの価値観や好みも、なんと無く分かり合えているし、単純に彼の事が好きでもある。其れから、もしかしたら何か発見に繋がる事だって有るかも知れない。僕はなんだかよく分からないまま直感に任せ「うん!オッケー、やろう。」と言った。
こんな風にしてMidorikawaとout of museumの基本的には売る事を着地点としない実験的?な服作りが始まった。それは行き先の決まっていない旅の様な物でもあり、その内、ある程度の形になったら回遊展でも出来ればいいなあ、などと企んでは見ているものの、どっかで少しは稼がなきゃねって話にもなって来て、スーベニールグッズとかも作ろうか、みたいな事も考え出したりして、まあ、世の中色々だなあ、と思っている。
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小林眞
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