TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム
CULTURE

【#3】ミドリカワ君との事

2021.06.23(Wed)

其の三

1990年代後半の原宿と言う場所は、まだまだ自然発生的なエネルギーを持ち備えていて、ただ、ウロウロと歩き回っているだけで、彼方此方に色々とプリミティブなアイデア転がっている、まるでムーミン谷の様な不思議な村だった。当時の僕は神宮前二丁目の郵便局の向かい側で〔EATS〕と言うセルフサービス形式のDELI(食堂)を運営していた。お客さんは様々なタイプのクリエイターやら、バックパッカーやら、ただ、ふらふらして、何をやっているのか分からない人など何やら物好きな人達が多かった。ティンシーリングが張り巡らされた外壁に鈍く赤色発光するネオン管のサインが取り付けられていて、錆びたスチール枠の重いガラス扉を開けると、入って、直ぐ右側にちょっとしたカウンター席があり、そこに座って見上げると、僕が20代の頃にステンシルワークで制作した沢山の人の顔の絵が掛かっていて、日替わりのデリが並ぶガラスの冷蔵ショーケースの上には、猫科の動物の古い骨格標本や、戦前の菌類の模型などが展示されていた。
其の四につづく。

プロフィール

小林眞

こばやし・まこと|1960年、長野県生まれ。2018年にアトリエ兼ギャラリーショップ『Out of Museum』をオープン。
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