TOWN TALK / 1か月限定の週1寄稿コラム

【#4】DUB SESSIONS

執筆:エイドリアン・シャーウッド

2025年10月30日

Lee Perry and Adrian Sherwood at Dub Sessions Vol. 2 (2006)
photo: Hiroto Sakaguchi

“DUB SESSIONS”というイベントを始めてからもう20年になります(途中お休みの時期もありましたが)。どの回も特別で、そもそもの始まりは日本でした。

Dub Sessions
(2005, 2006, 2007, 2011)

振り返ってみると、特に印象深いのは2007年のDUB SESSIONSです。アリ・アップとザ・スリッツと一緒にやった回で、1981年に一緒に制作した『The New Age Steppers』以来、久しぶりにアリと再会できた特別な機会でした。あのレコーディングの時期は本当に忘れられない時間です。彼女はその頃ジャマイカに住んでいて、しばらく会えていなかったのですが、あの公演も当時と同じように楽しくてクレイジーなエネルギーに満ちていて、ザ・スリッツが再集結した姿を見るのは本当に感動的でした。

Adrian and Ari Up
photo: Kishi Yamamoto

これまでのイベントには、日本の素晴らしいアーティストたちも出演しています。たとえばオーディオ・アクティブ、キラ・シスタ、DRY&HEAVYの内田直之、GEZAN、そしてにせんねんもんだい。2015年に開催したDUB SESSIONSの際には、にせんねんもんだいのアルバム『#N/A』をプロデュースすることにもなりました。アルバム発売後にはヨーロッパで一緒にライブをする計画もありましたが、メンバーが家庭を持ち始めるなどの事情もあって実現しませんでした。彼女たちの音楽が本当に好きだっただけに残念です。こうしたコラボレーションを意外に思う人もいるかもしれませんが、僕にとってダブとは「ダブ/レゲエ」だけを指すものではありません。音の感覚を深く理解し、面白くて実験的な表現をするアーティストたちと共に作品を作ること。それこそがOn-Uの使命なんです。

Dub Sessions
(2015, 2019, 2023, 2024)

日本は間違いなくダブ文化の重要な一部を担ってきたと思います。最初期から日本人の関わりがあり、ジャマイカからニューヨークにまで名を轟かせる世界屈指のサウンドシステム、マイティークラウンもその一例です。日本の友人たちはみな本物のダブ通で、オーディオ・アクティブ、リクル・マイ、井上青など、尊敬する仲間ばかりです。そして何年も前に閉店してしまいましたが、僕にとって世界で一番好きなクラブは今でも青山の『MIX』です。あの場所には最高の思い出が詰まっていて、そこで出会った大切な友人たちに11月に再会できるのが本当に楽しみです。

DUB SESSIONSの20周年を記念する今回は、デニス・ボーヴェルとマッド・プロフェッサーも参加してくれます。三人が同じステージに立つのは初めてのことですし、僕がバンド(ダグ・ウィンビッシュ、アレックス・ホワイト、マーク・バンドラ)と一緒にライブをするのも初めてです。

デニスと初めて会ったのは1977年、僕が19歳の時でした。友人の紹介で出会い、彼が僕の初プロデュース作品『Dub from Creation』(1978年)のミックスを担当してくれました。マッド・プロフェッサー(本名ニール)とは80年代半ばに知り合い、当時は同じレーベルに所属していて、リー・ペリーのような共通の友人もいました。それ以来何度か道が交わり、最近はより親しくなっています。

ダグ・ウィンビッシュとは1984年のニューヨークのNew Music Seminarで会い、その後彼とキース・ルブランをイギリスに招いてレコーディングしました。マーク・スチュワートと一緒に遊びでライブをしたり、いくつかの作品を作ったり、ファッツ・コメットマーク・スチュワート+ザ・マフィアをリリースするレーベル〈World Records〉も立ち上げました。

ステージでは、事前にどんなエフェクトが合うかを考えてはいますが、実際のパフォーマンスはすべて即興です。その場の感覚に身を任せて作り上げていきます。DUB SESSIONSを始めて20年、そして前作から13年ぶりのソロアルバム発表となる今回。新作を日本で初披露できること、そしてこれほど素晴らしいアーティストたちと共演できることに、心からワクワクしています。東京、名古屋、大阪、どの街でも、久しぶりに、あるいは初めて出会う皆さんにお会いできるのを楽しみにしています。

プロフィール

エイドリアン・シャーウッド

1958年、ロンドン生まれ。ソロ作品、タックヘッドに代表されるバンドとしての活動、また彼自身が主宰する〈On-U Sound〉レーベルを通して唯一無二の美学を体現するクリエイティブな存在として、常にアーティストとしての仕事とプロデューサーとしての仕事を並行して行ってきた。
8月にリリースされた13年ぶりとなるソロアルバム『The Collapse Of Everything』をひっさげ、11月にはDUB SESSIONS 20th Anniversaryで来日決定!

Instagram
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DUB SESSIONS
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