カルチャー

屋久島で生まれる雑誌がある。

島旅のしおり

2025年9月12日

サマーボーイと夏の島。


edit: Sana Tajika
2025年9月 941号初出

屋久島で唯一の出版社から刊行される『SAUNTER Magazine』。その編集発行人である国本真治さんに、屋久島で雑誌を作る意義について聞いた。

 10年以上前、屋久島に移住した友人のもとへ遊びに行ったのが、僕と屋久島の最初の出合いでした。本格的に移住を考えたきっかけは、東京と屋久島を行き来する二拠点生活。2020年頃には完全に屋久島に拠点を移しました。

 それで、雑誌『SAUNTER Magazine』を初めて刊行したのは、出版社を立ち上げた1年後の2019年。屋久島から発信しているし、屋久島のことを取り上げてもいるので、その専門誌と誤解されがちなんですが、実際は〝旅〟をテーマに、さまざまな土地、人、文化を取り上げています。今後は、屋久島で雑誌を作るという特異さをどう生かすかが、今の自分に課されたテーマの一つでもあると考えています。

毎号さまざまな著名人やクリエイターが旅にまつわる企画に参加している。これまでの特集テーマは、音楽、移動生活、山など、さまざま。

 一人で雑誌を作るのって、やっぱり物理的にも精神的にも楽なことではないです。でもやっぱり雑誌という表現媒体が好きだから続けていきたいんですよね。最近では、ブランドや自治体など、雑誌以外のプロジェクトを通して、屋久島の魅力や価値をさまざまな切り口で掘り下げる機会も増えてきました。この土地に根を張りながら、自分なりの視点で見たもの、感じたことを誰かに届けていく。その営みこそが、自分にとっての表現であり、屋久島で暮らす意味でもある。この雑誌を通して、屋久島という小さな島の中にある可能性を探り続けていきたいと思っています。

今年9月発売予定の最新号は、布をテーマにした特集。国本さんが毎年行くというインドでは、グジャラート州やメガラヤ州を取材したそう。

プロフィール

屋久島で生まれる雑誌がある。

国本真治

くにもと・しんじ︱『SAUNTER Magazine』編集発行人。1975年、大阪府生まれ。東京の出版社INFASパブリケーションズを経て、2018年に独立。同年、屋久島に出版社「Kilty Books」を設立。屋久島のホテル+ヨガスタジオ「Ananda Chillage」も運営。

Official Website
https://kiltyinc.com/saunter/

Instagram
https://www.instagram.com/sauntermag.japan/